シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
お願い!傍にいてほしい……!
許されない想い。

私はその感情を知っている――――――


好きになってはいけない。
でも、この気持ちを止められない。

倫理も道徳も、友人や家族…何もかもがどうでもいい。

ただ……彼が欲しい。


しかしその感情のせいで、私は全てを失った。

高校生活、友人、そして…母親……

爽子の両親の離婚のきっかけは、爽子の不倫が原因だからだ。

好きになってはいけない教師を好きになり、いけないとわかっていて関係を持った。

あの頃、本当に全てがどうでもよかった。

彼がいれば、何もいらなかった。

しかし……

“幸せは私から離れていった”


そして今……大切な弟が、私と同じようになろうとしている。

全てを捨てて、せっちゃんと生きていこうとしている。

それだけは、絶対にダメ!!!


「けんくん。
私は、けんくんとせっちゃんには幸せになってほしいの…!
けんくんの今の選択は、幸せを遠ざける。
だからお願い!!
考え直して?
せっちゃんから離れろなんて言わない。
ただ……
今までのまま、三人で暮らしてこ?
それが一番、幸せなことなの……!!」

「爽姉の気持ちはわかる。
でも、世莉が受け入れてくれるなら……
俺は全て捨てていいと思ってる。
世莉は、俺が守る……!」

「全て捨ててって……
…………その“全て”には、私も入ってるのよ…ね…?」

「………」

けんくんは、何も言わない。

「………」

嫌………!!!

「ごめん、爽姉…」 

「………」

一人にしないで……!!!

「………爽――――」

「違うの!!!」

「え?爽姉?」

「違う…の…」

今わかった。

私は“けんくんとせっちゃんの幸せを”望んでたんじゃない。

“私自身の幸せを”失いたくないんだ……!   


「傍に…いて……?」

「え?」

「もう…嫌なの…
一人は……」

「爽姉…」

「けんくんとせっちゃんの傍にいたい。
けんくんとせっちゃんのために生きていきたい。
けんくんとせっちゃんのために生きていくことが、私の幸せなの……!!
お願い……!傍にいて……?」


するとガタン…!と音がして、私とけんくんが見るとせっちゃんがベッドから落ち、這って私達の所へ来ようとしていた。

「世莉!!?」
「せっちゃん!!?」
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