シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
爽子と賢雄が、慌てて駆け寄る。

「世莉!大丈夫か!?
怪我は!?」
賢雄が世莉を起こし、身体を確認する。

「ねぇね!!」

「せっちゃん!!?
大丈…………」

「私も、ねぇねといたい…!!!」

「え……」

「私!
にぃにとねぇねといたい!!
にぃにのこと、大好き!!
でも、ねぇねのことも大好き!!」

「せっちゃん…」
「世莉…」

「私達、ずーっと三人で頑張って来たでしょ?
お父さんとお母さんが亡くなって、私だけ助かって……
落ち込んだ私に、二人が言ってくれたじゃない?
“お父さんとお母さんに生かされた”って!
だから、三人で二人の分まで生きようって!
リハビリも辛くて苦しかったけど、ねぇねとにぃにがいてくれたから、私頑張れたんだよ?
“ねぇねとにぃにがいたから”私は生きてこられた!
だから、これからも“ねぇねとにぃにといたい”」

世莉が泣いていた。

元々泣き虫だった世莉。
でも事故に遭ってから、どんなに辛くても涙を見せなかった。

“支えてくれるねぇねとにぃにのために、笑ってたい”

そう言って、決して見せなかった。

その世莉が、泣いている。

「わかった!
世莉、これからも三人一緒だ!!」

「けんくん…
せっちゃんも、ありがとう!!」

三人は、顔を見合わせて笑った。



いつもの生活に戻った、爽子、賢雄、世莉。

いや……
少しだけ、違う。

「爽姉」

「んー?」

「今日から、俺も世莉を風呂に入れたい」

「………」

「………」

「………はい?」

「え?聞こえなかった?
今日から、俺も世莉を風呂に入れる!」

「………」

「何?」

「せっちゃんは?」

「は?」

「“せっちゃんは”良いって言ってるの?」

「………聞いてねぇけど…」

「聞いてみたら?」

世莉に聞くと……

「―――――え!?にぃにと!?
やだ!!」

「………」
「フッ…!
ほらね!(笑)」

「世莉ぃ〜」
(地味に傷つくんだが…!!)

「やだ!」

「いいじゃん!
俺も一緒に入るんだし!」

「やだ!!ねぇねがいい!!」

「はい、残念ね!(笑)
せっちゃん、入ろうか!」

「うん!」

微笑み、爽子に連れられ風呂に向かった世莉。


賢雄はそれを、切なく見つめていた。
「はぁ…ほんと…落ち込む…(笑)」
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