シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
「あ!にぃに!ねぇねも、おかえりなさい!」

世莉が微笑み、近づいてきた。

「世莉…!!」
賢雄が世莉に近づき、膝を折って抱き締めた。

「え?え?にぃに?」

「良かっ…た……」
そして世莉の顔を包み込み、安心したように呟く賢雄。

世莉は何が何だかわからない。
そんな世莉に、爽子が言った。

「せっちゃん、今日誰か来た?」

「え?あ…実平のおばさんが、苺持ってきてくれたの……!」

「そっか!
でも、世莉。
鍵!ちゃんと、閉めねぇと!」

「あ…ご、ごめんなさい…」

「せっちゃんは日中一人なんだから!」
「泥棒とか入ったら大変だろ!?」

爽子と賢雄に叱られ、世莉は再度謝るのだった。


爽子が夕食を作っている間、賢雄と世莉は録画していた歌番組を見ていた。

ソファに並んで座り、賢雄は世莉の腰を抱いている。

好きなアーティストの歌を小さく口ずさむ、世莉。
それを賢雄は、微笑ましく見つめていた。

「出来たよ〜!」

爽子の呼びかけに、二人は「はーい!」と返事をした。

「世莉、ほら!おいで?」
賢雄が世莉を抱き上げる。
電動車椅子に座らせ、ダイニングテーブルへ。

“いただきます!”と手を合わせ、朝食の時と同じように賢雄が世莉に食べさせた。

「世莉。はい、最後の一口!あーん!」

「も…お腹いっぱい…」

「ダメよ、せっちゃん。
出した物は完食する約束でしょ?」
首を横に振る世莉に、爽子が鋭く言った。

極端に少なく、幼児が食べる量程しか食べれない世莉。
それもありガリガリに痩せ細って、力も出ない。
そのため、食事に関しては爽子は厳しく言い聞かせる。

「世莉、ね?頑張って?」
頭を撫でて言った賢雄に、世莉は小さく口を開けた。

「ん、お利口さん!」


それから、実平から貰った苺を食べる三人。
そこで世莉が、爽子と賢雄に「話があるの」と切り出した。

「「何?」」

世莉は部屋から、実平に貰ったパンフレットを持ってきて、ダイニングテーブルに置いた。

爽子と賢雄の目が見開かれた。

「せっちゃん、これ……」
「世莉、まさか……!?」

「私、ヘルパーさんを頼もうと思ってるの!」
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