「お前を愛することはない」私も魔獣以外愛する気はありませんの。お揃いですわね
クロエが頬を赤く染めながら、狼の口が離れたのをじっと見つめている時のことだった。
――狼が、眩い光に包まれたのは。
「狼さん!?」
愛しき獣が消えてしまうのではないかと危惧した彼女はもふもふとした毛並みに強く抱きつき顔を埋めると、離れないようにしがみつく。
だんだんと触り心地のいい毛並みの感覚が、ゴツゴツとしたものに変化していくのを不思議に思いながら。
――光が薄れた瞬間。
彼女の腕の中に収まっていたのは――。
「君は人間ではない俺を、本当に愛する覚悟があるのだな」
頭の上に二つ。左右についた狼の耳をぴょこりと動かし、臀部にくっついた尻尾を左右に揺らしながら。
王太子とそっくりな顔をした獣人が、至近距離で人間の言葉を喋った。
「殿下……? 狼、さんは……?」
「あれは、俺だ」
腕の中にすっぽりと収まっていたはずの狼が、三角に尖った獣耳と尻尾を生やした見覚えのある獣人に変身し――彼女を抱きしめている。
これに驚いたクロエは必死に彼の腕の中から逃れようとするが、ヴァクトはけして彼女を離そうとしなかった。
わかっていたからだ。
――狼が、眩い光に包まれたのは。
「狼さん!?」
愛しき獣が消えてしまうのではないかと危惧した彼女はもふもふとした毛並みに強く抱きつき顔を埋めると、離れないようにしがみつく。
だんだんと触り心地のいい毛並みの感覚が、ゴツゴツとしたものに変化していくのを不思議に思いながら。
――光が薄れた瞬間。
彼女の腕の中に収まっていたのは――。
「君は人間ではない俺を、本当に愛する覚悟があるのだな」
頭の上に二つ。左右についた狼の耳をぴょこりと動かし、臀部にくっついた尻尾を左右に揺らしながら。
王太子とそっくりな顔をした獣人が、至近距離で人間の言葉を喋った。
「殿下……? 狼、さんは……?」
「あれは、俺だ」
腕の中にすっぽりと収まっていたはずの狼が、三角に尖った獣耳と尻尾を生やした見覚えのある獣人に変身し――彼女を抱きしめている。
これに驚いたクロエは必死に彼の腕の中から逃れようとするが、ヴァクトはけして彼女を離そうとしなかった。
わかっていたからだ。