「お前を愛することはない」私も魔獣以外愛する気はありませんの。お揃いですわね
「お前を愛することはない」などと心ない言葉を投げ掛けられる原因があるとすれば、婚約を結んでから一年経ち、まともに会話したのは今日が始めてだったと言うだけの話だ。
言葉を交わし合えなければ、交流を深めるスタートラインにすら立てやしない。
それでもクロエはこの状況を打破しようと自ら彼へ会いに何度か王城へ顔を出していたが、ヴァクトの姿を見ることすら叶わなかったのだからどうしようもなかった。
「奇遇ですわね」
彼の告白にどう答えを返すべきか――迷いを生じさせたのは一瞬のことだ。
彼女は満面の笑みを浮かべると、彼が想定していない言葉を堂々と告げた。
「わたくしも、あなたを愛せそうにはありませんわ」
クロエが宣言した直後。ヴァクトは想像もしていなかった言葉を受け取り全身を硬直させる。
公爵令嬢が視線を逸らし紡がれた言葉を受け取った彼の見開かれた瞳には、“納得がいかない”と言う感情が込められていた。
「そう、か」
自分から提案したくせに。なぜ戸惑っているようにしか見えない反応を示すのか――。
さっぱり理解出来ないクロエは、無言で踵を返すとその場を去った。
言葉を交わし合えなければ、交流を深めるスタートラインにすら立てやしない。
それでもクロエはこの状況を打破しようと自ら彼へ会いに何度か王城へ顔を出していたが、ヴァクトの姿を見ることすら叶わなかったのだからどうしようもなかった。
「奇遇ですわね」
彼の告白にどう答えを返すべきか――迷いを生じさせたのは一瞬のことだ。
彼女は満面の笑みを浮かべると、彼が想定していない言葉を堂々と告げた。
「わたくしも、あなたを愛せそうにはありませんわ」
クロエが宣言した直後。ヴァクトは想像もしていなかった言葉を受け取り全身を硬直させる。
公爵令嬢が視線を逸らし紡がれた言葉を受け取った彼の見開かれた瞳には、“納得がいかない”と言う感情が込められていた。
「そう、か」
自分から提案したくせに。なぜ戸惑っているようにしか見えない反応を示すのか――。
さっぱり理解出来ないクロエは、無言で踵を返すとその場を去った。