「お前を愛することはない」私も魔獣以外愛する気はありませんの。お揃いですわね
公爵令嬢の想い
(確か、このあたりに……)
王城の中庭へやってきたクロエは咲き乱れる花々を見渡し、目当ての物を探し当てるために視線を彷徨わせる。
「狼さん……?」
「ガウッ」
クロエが不安そうに問いかければ。
ガサガサと花畑が激しく左右に揺れ、中から白いもふもふとした毛並みの獣が飛び出して来た。
勢いよくクロエの胸へ飛び込む魔獣は彼女を美しき花が咲き乱れる花園へ押し倒すと、胸元へ四足を乗せて嬉しそうに尻尾を振った。
「お待たせ! 今日も、元気ですわね!」
「ガルルッ!」
クロエの背に踏み潰されて散った花弁が宙を舞い、ひらりひらりと二人の頭上に降り注ぐ。
クロエが獣を抱き寄せれば、頬をぺろりと小さな舌が這う。
「ふふっ。くすぐったいですわ……」
ヴァクトと相対した際に見せた能面のような表情はどこへやら。
彼女は花が美しく綻ぶような心からの笑顔を見せると、狼とじゃれ合った。
王城の中庭へやってきたクロエは咲き乱れる花々を見渡し、目当ての物を探し当てるために視線を彷徨わせる。
「狼さん……?」
「ガウッ」
クロエが不安そうに問いかければ。
ガサガサと花畑が激しく左右に揺れ、中から白いもふもふとした毛並みの獣が飛び出して来た。
勢いよくクロエの胸へ飛び込む魔獣は彼女を美しき花が咲き乱れる花園へ押し倒すと、胸元へ四足を乗せて嬉しそうに尻尾を振った。
「お待たせ! 今日も、元気ですわね!」
「ガルルッ!」
クロエの背に踏み潰されて散った花弁が宙を舞い、ひらりひらりと二人の頭上に降り注ぐ。
クロエが獣を抱き寄せれば、頬をぺろりと小さな舌が這う。
「ふふっ。くすぐったいですわ……」
ヴァクトと相対した際に見せた能面のような表情はどこへやら。
彼女は花が美しく綻ぶような心からの笑顔を見せると、狼とじゃれ合った。