バイ・アンド・バイ

「何かあったんですか?」



さすがに黙って作業なんて出来なくて、手に持っていた札束を一旦レジの中へ戻し、千瑚さんに問うてみる。



弥生(やよい)ちゃんごめんねぇ騒いじゃって。実はねー…」



めそめそと千瑚さんが教えてくれた現状。


どうやら、私たちの販売する商品を保管している専用倉庫の扉の前で、全身黒ずくめの男が2時間も前からぐったり倒れている……との事。



「明日新作のDP(ディスプレイ)があるから倉庫に商品取りに行きたいんだけど、怖くて怖くて近づけなくて…」

「千瑚てんちょー。私たち残業確定ですかあ?」

「……森ちゃん、申し訳ないけど事務所行ってフロアの責任者呼んできてくれる?倉田ちゃんは私と一緒にーー…」

「───私、見てきましょうか?」



< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop