140字小説・桜
一面に咲く、君の名前。

一面に咲く、君の名前。

初めて出逢った場所は君のもののようだった。

その風景に魅了された僕は、毎年きみをそこへ誘った。

夏の太陽みたいに咲き誇る花は、うつむきがちな君の顔を僕に見せてくれた。

僕のお守りの花になった。

今は僕がその花になって、泣きそうなきみに上を向かせよう。

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