目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする

30 エピローグ

「ローラ様、本当にご無事でよかった!どうか、ティアール国のことを悪く思わないでくださいね。いつかヴェルデ様と一緒に遊びにきてください。……ローラ様とは一度恋バナなどしてみたいのです」

 ローラが無事に救出された翌日。ティアール国へ帰国するメイナードたちを見送るローラに、ティナがこっそりと話しかけてきた。

「ありがとうございます。恋バナ、楽しみにしていますね」

 にこっとローラが微笑むと、ティナは頬を赤く染めながら嬉しそうにうなずいた。


「ヴェルデ、いろいろとすまなかったな」

「いえ、犯人は捕まりましたし、メイナード殿下とも久しぶりにお会いできてよかったです」

「今度はゆっくりと話をしよう。その頃には二人は結婚しているのだろうな」

 ふふっとメイナードが笑って言うと、ローラは顔を赤らめてヴェルデを見る。ヴェルデはローラを見つめて嬉しそうに微笑んでから、メイナードに力強く頷いた。








「連れ去られそうになった!?」

 王城から帰宅したローラとヴェルデに王城での出来事を聞かされたフェインは、驚いた顔で二人を見た。三人は今、屋敷の近くにある丘の上でピクニックをしている。

「あんた、狙われるほどにすごい人だったんだな」

「いえ、そういうわけでは……」

「でも、無事でよかったよ。もしもあんたに何かあったら、こいつ正気を失うだろ」

 フェインの言葉に、実際ヴェルデが正気を失いかけていた場面を見たローラは苦笑する。

「でも、教会が絡んでいたとなると、オーレアン興だけでなく他にもローラ様を狙う輩がいるかもしれない。屋敷と仕事場の警備の強化をしなければならないな」

 考え込みながらぶつぶつと独り言を言うヴェルデをみて、ローラとフェインは苦笑する。
< 111 / 112 >

この作品をシェア

pagetop