目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
5 旅立ち
「君もずいぶんと大胆なことをしてくれたね、ヴェルデ」
ヴェルデとローラの目の前には、貼りつけたような笑顔のメイナードがいる。ヴェルデから詳しいことを聞いたメイナードは、一度大きく目を見開いてからすぐに冒頭の言葉を吐いた。
「ヴェルデ様は悪くないのです。もとはと言えば、私がいなくなろうとしたことが原因で……」
「いえ、ローラ様は悪くありません。ローラ様があのような行動をとってしまったのは仕方のないことでしょう。メイナード様もそれはおわかりになっているはずです」
ローラがこっそりと屋敷から逃げ出そうとした理由は、死に場所を求めていたからだ。屋敷内で自害するとしたらメイナードや世話をしてくれていた人たちに迷惑がかかってしまう。せめて迷惑がかからないようにと屋敷の外に出て、どこか遠いどこかで野垂れ死のうと思ったのだ。
「ローラ様が我々の迷惑にならぬようにと考えての行動なのはわかりました。ですが、屋敷の外のどこかでお亡くなりになったとしても、我々はローラ様の行方を捜し見つけるでしょう。そしてローラ様の最期をそんな風にしてしまったという自責の念にかられます。どうであれ、迷惑がかからないということはありえないのですよ。それだけはわかっていただきたい」
メイナードの言葉に、ローラはうつむいて小さくお辞儀をし、震える声で謝罪した。
「本当に、申し訳ありません……」
「……ですが、あなたをそんな風にまで追い詰めてしまった我々にも落ち度はあります。むしろ我々こそ謝るべきだ。あなたを目覚めさせた時点で、あなたの心にもっと寄り添うべきでした。申し訳ありません」
メイナードが静かにそう言ってお辞儀をすると、ヴェルデも同じようにお辞儀をする。それを見てローラは両目に涙を浮かべ息をのんだ。
「メイナード様、私がローラ様を連れて行くことに関してはどうなさるおつもりでしょうか」
ヴェルデがそう聞くと、メイナードがふむ、と顎に手を添えてジッとローラを見つめる。
「私の側妃になるのはそんなにお嫌でしたか?」
「え、いえ、そ、そういうわけではないのですが……」
メイナードの問いに、ローラは慌てて両手をばたつかせるが、メイナードはそれを見て笑った。
ヴェルデとローラの目の前には、貼りつけたような笑顔のメイナードがいる。ヴェルデから詳しいことを聞いたメイナードは、一度大きく目を見開いてからすぐに冒頭の言葉を吐いた。
「ヴェルデ様は悪くないのです。もとはと言えば、私がいなくなろうとしたことが原因で……」
「いえ、ローラ様は悪くありません。ローラ様があのような行動をとってしまったのは仕方のないことでしょう。メイナード様もそれはおわかりになっているはずです」
ローラがこっそりと屋敷から逃げ出そうとした理由は、死に場所を求めていたからだ。屋敷内で自害するとしたらメイナードや世話をしてくれていた人たちに迷惑がかかってしまう。せめて迷惑がかからないようにと屋敷の外に出て、どこか遠いどこかで野垂れ死のうと思ったのだ。
「ローラ様が我々の迷惑にならぬようにと考えての行動なのはわかりました。ですが、屋敷の外のどこかでお亡くなりになったとしても、我々はローラ様の行方を捜し見つけるでしょう。そしてローラ様の最期をそんな風にしてしまったという自責の念にかられます。どうであれ、迷惑がかからないということはありえないのですよ。それだけはわかっていただきたい」
メイナードの言葉に、ローラはうつむいて小さくお辞儀をし、震える声で謝罪した。
「本当に、申し訳ありません……」
「……ですが、あなたをそんな風にまで追い詰めてしまった我々にも落ち度はあります。むしろ我々こそ謝るべきだ。あなたを目覚めさせた時点で、あなたの心にもっと寄り添うべきでした。申し訳ありません」
メイナードが静かにそう言ってお辞儀をすると、ヴェルデも同じようにお辞儀をする。それを見てローラは両目に涙を浮かべ息をのんだ。
「メイナード様、私がローラ様を連れて行くことに関してはどうなさるおつもりでしょうか」
ヴェルデがそう聞くと、メイナードがふむ、と顎に手を添えてジッとローラを見つめる。
「私の側妃になるのはそんなにお嫌でしたか?」
「え、いえ、そ、そういうわけではないのですが……」
メイナードの問いに、ローラは慌てて両手をばたつかせるが、メイナードはそれを見て笑った。