目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
◇
――長い長い廊下を歩いていた。少し前に、見慣れた背中がある。その人はいつも少し前を歩き、たまに後ろを振り返りまたすぐ前を向く。
ふと、悪寒がした。なにか、どこかで禍々しい気配が目の前の大切な背中を狙っているような気がした。そして、その予感は的中する。目の前の大切な背中に、大きな悪意が魔法と共に向かってくる。
「エルヴィン様、危ないっ!」
目の前の背中を追い、庇うようにして体当たりしようとしたその瞬間。振り返ったその顔は、悪どいという表現がぴったりなほどの顔で――笑っていた。
「……っ!」
ガバッと起き上がると、ローラは肩で息をしながら冷や汗を垂らしていた。辺りを見渡すと、薄暗い。ふと横を見ると、少し離れてヴェルデが静かに寝息を立てていた。
(そうだわ、ここはヴェルデ様のお屋敷で、さっきのは、夢……?)
はぁ、と静かにため息をついてローラはまたヴェルデをそっと見る。ヴェルデはローラが起きたことに気づいていないようだ。ローラの心臓はまだバクバクと激しく動き、呼吸も早い。ヴェルデを起こさないように気をつけながら、落ち着くために何か飲み物を飲んでこようかとそっとベッドから降りようとした、その時。
――長い長い廊下を歩いていた。少し前に、見慣れた背中がある。その人はいつも少し前を歩き、たまに後ろを振り返りまたすぐ前を向く。
ふと、悪寒がした。なにか、どこかで禍々しい気配が目の前の大切な背中を狙っているような気がした。そして、その予感は的中する。目の前の大切な背中に、大きな悪意が魔法と共に向かってくる。
「エルヴィン様、危ないっ!」
目の前の背中を追い、庇うようにして体当たりしようとしたその瞬間。振り返ったその顔は、悪どいという表現がぴったりなほどの顔で――笑っていた。
「……っ!」
ガバッと起き上がると、ローラは肩で息をしながら冷や汗を垂らしていた。辺りを見渡すと、薄暗い。ふと横を見ると、少し離れてヴェルデが静かに寝息を立てていた。
(そうだわ、ここはヴェルデ様のお屋敷で、さっきのは、夢……?)
はぁ、と静かにため息をついてローラはまたヴェルデをそっと見る。ヴェルデはローラが起きたことに気づいていないようだ。ローラの心臓はまだバクバクと激しく動き、呼吸も早い。ヴェルデを起こさないように気をつけながら、落ち着くために何か飲み物を飲んでこようかとそっとベッドから降りようとした、その時。