目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
(その顔はあまりにもズルすぎます!)


「だ、だめではないのですが……」

「本当は今すぐにでも抱きしめたいんです。でもローラ様の嫌がることはしたくない。だから、これで我慢しているのですよ」

「え、ええ……!?」

 そんなことを言われてしまったらローラもこのままでいるしかないと観念せざるを得ない。顔を赤らめながらうつむくと、ヴェルデがローラの顔を覗き込んだ。

「ローラ様、もっと顔を見せてください」

「む、無理です!」

 そんなやり取りをしていると、突然玄関のドアが開いた。

「おい、ヴェルデ、いるんだろ。屋敷にいったらこっちに向かったって聞いて……は?誰だお前。一体何して……」

 突然入ってきた男は、二人の様子を見て眉をしかめ絶句している。その男のまとう空気がピリリと張り詰めたことに、ローラは気づいた。



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