目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
「一目ぼれしねぇし、いらねぇよ。で、自分の仕事場を見せるために連れてきたってわけか」

「ああ、それもあるけど、彼女の呪いについてまだ解明できていないことがあるんだ。だから彼女には解明のために、たまにここに来てもらう」

「はぁ!?」


 まるでこの場所にはローラにいてほしくないと言わんばかりの顔でフェインは抗議の声をあげる。その声に思わず驚いてローラが肩を震わせると、フェインはそれを見て申し訳なさそうに目をそらした。

「……すまん。大きな声を出しすぎた。だったら、俺も手伝う。人手は多い方がいいだろ」

「いや、この件は俺一人でやるよ。どうも師匠の魔法も関係しているようなんだけど、どう関係しているかがわからない。そうなると直接聞きにいくしかないかと思ってね」

「クレイ様の?……なるほど、だったら俺が出る幕はないな。わかった。だが、何か手伝えそうなことがあったらいつでも言えよ」

「あぁ、ありがとう。やっぱりフェインは頼りになるな」

 嬉しそうに笑うヴェルデを見て、フェインはフッと優しい微笑みを浮かべた。

(フェイン様もあんな風に優しく笑うのね。ヴェルデ様と仲がよろしいんだわ)

 二人の様子にローラも思わず笑みを浮かべると、ローラの視線に気づいたフェインはふいっと視線をそらした。だが、すぐにまたローラへ目を向けると、ローラの近くに寄ってきた。

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