目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
「さっきはすまない。あんたの素性はわかった。だが、俺はあんたの身分は知らないしどうでもいい。ヴェルデの婚約者ならなおさらだ」

「はい、もちろん構いません。私も、身分など関係なく気さくに話していただく方が嬉しいです。突然来た人間にこうして優しく対応していただいて、ヴェルデ様の周りの方は素敵な方たちばかりだと思いました。まだまだわからないことばかりですが、どうか仲良くしていただけると嬉しいです」

 そう言って、ふわっと花が咲くようにローラは微笑んだ。その微笑みを見て、フェインは驚いたままローラをじっと見つめる。そして、目を伏せて静かにため息をついた。

「ヴェルデが見込んだだけのことはあるな。……わかった、こちらこそよろしく頼む」


 二人の様子を見てヴェルデは目を輝かせて喜んでいる。そして、そんなヴェルデをフェインは少し寂しそうに見つめていた。



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