目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
(もし、眠りの魔法の解明が終わってしまったら、私はヴェルデ様のそばにいる必要がなくなってしまうのではないかしら……私がここにいる理由が、なくなる?)

 ほんの少しの不安がローラの中に湧き上がる。

「ローラ様?どうかしましたか?」

「えっ、あ、きゃあっ」


 ヴェルデの顔が急に目の前に現れて、ローラは驚いて思わず後退りしてしまう。そしてそのまま足がもつれ、ローラは後ろに倒れそうになった。だが、ヴェルデが片腕を腰に回してローラを引き寄せ、ローラを腕の中に抱え込んだ。

「ローラ様、大丈夫ですか?驚かせてしまってすみません」

 腕の中に抱え込んだまま顔だけをローラに向け、覗き込むヴェルデ。

(ちちちちち近い近い近い!近すぎます!)

 一気に顔が赤くなるローラを見て、ヴェルデは少し嬉しそうに微笑んだ。

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