目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
「おい、ヴェルデ、畑の薬草の収穫が終わったぞ……って、邪魔だったか」

 急に部屋に入ってきたフェインは、二人を見て一瞬眉を顰め、すぐに部屋から出ようとする。

「ああああの!大丈夫です!フェイン様、畑仕事でお疲れでしょう?今、お茶をお持ちしますので!」

 慌ててヴェルデから離れると、ローラはそう言ってそそくさと部屋を出ていく。そんなローラをヴェルデは少し物足りなそうに眺め、そんなヴェルデをフェインは真顔で見つめていた。


「部屋に入ってくるときはノックしろと言ってただろ」

「悪い、今ままでの癖でつい」

「今はローラ様もいるんだ、少し気にしてくれよ」

「邪魔されたら困るし、か?」

 フェインがふん、と鼻を鳴らしながらそう言うと、ヴェエルでは苦笑する。

「まぁ、今のはハプニングみたいなものだけど、そうだな。あのままもっと距離を詰めるのも悪くなかったかもしれない」

 ヴェルデの返事に思わず渋い顔をするフェインを見て、ヴェルデはやれやれとため息をついた。











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