目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
「あんた、本当にできたお嬢様なんだな。こんなに素直だとヴェルデもむしろ心配になるだろ」

「誰がなんだって?」

「ヴェルデ様!」

 ローラとフェインが声のする方を見ると、入り口にヴェルデが少し不満げに立っていた。


「二人がなかなか戻って来ないから心配になって見にきてみたら、随分と仲が良さそうじゃないか」

「婚約者様と仲良くしてこいって言ったのはお前だろ」

「そうだけど……なんか妬けるな」

 そう言ってヴェルデはずかずかと入って来て二人の間にある椅子に座る。

「お湯も沸いたので、お茶はお部屋にお持ちしますよ?」

「いや、もうここで飲んでしまおう」

「そうだな、その方が手っ取り早い」

 二人の返事にローラは思わずくすくすと小さく笑い始めた。

「ローラ様?」

「うふふ、すみません。お二人の息がぴったりなものですから、つい嬉しくて」

 嬉しそうに笑うローラに、ヴェルデとフェインは目を合わせて少し照れ気味に微笑んだ。



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