目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
14 不安
ローラとヴェルデがヴェルデの師匠の元を訪れる日の朝。その日を待ち侘びていたはずなのに、なぜかヴェルデは浮かない様子だ。
(ヴェルデ様、朝食の時からずっと様子がおかしいわ。ため息ばかりついているし、私の顔を見て何かを言いかけて、でもすぐにやめてしまう)
体調でも悪いのだろうか。そうであれば今更行くのをやめたいと言い出せないのかもしれない。ヴェルデの師匠は隠居しているとはいえ、未だ魔法の研究には熱心で忙しい身のようだ。今日を逃せば次はいつ会えるかわからない。そう思って無理をしているのかもしれない。
「ヴェルデ様、もしかして体調がよろしくないのではありませんか?もしそうであれば、今日お師匠様の元へ伺うのはやめましょう。無理をして行くべきではありません」
心配そうにヴェルデの顔を覗き込むと、ヴェルデはハッとした顔をして、静かに首を振った。
「違うんです。体調は別に悪くありません。勘違いさせてしまいましたね」
「では、一体どうなされたのですか?なんだかいつもと様子が違います」
体調が悪いのでなければ安心だ。だが、では他の理由はなんなのだろうか。首を傾げて尋ねると、ヴェルデは苦々しい顔でローラを見つめた。
「……実は、ローラ様が師匠と会って、もしも師匠に恋をしてしまったらと思うと苦しくて」
「……はい?」
全く予期しなかった言葉に、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。
(ヴェルデ様、朝食の時からずっと様子がおかしいわ。ため息ばかりついているし、私の顔を見て何かを言いかけて、でもすぐにやめてしまう)
体調でも悪いのだろうか。そうであれば今更行くのをやめたいと言い出せないのかもしれない。ヴェルデの師匠は隠居しているとはいえ、未だ魔法の研究には熱心で忙しい身のようだ。今日を逃せば次はいつ会えるかわからない。そう思って無理をしているのかもしれない。
「ヴェルデ様、もしかして体調がよろしくないのではありませんか?もしそうであれば、今日お師匠様の元へ伺うのはやめましょう。無理をして行くべきではありません」
心配そうにヴェルデの顔を覗き込むと、ヴェルデはハッとした顔をして、静かに首を振った。
「違うんです。体調は別に悪くありません。勘違いさせてしまいましたね」
「では、一体どうなされたのですか?なんだかいつもと様子が違います」
体調が悪いのでなければ安心だ。だが、では他の理由はなんなのだろうか。首を傾げて尋ねると、ヴェルデは苦々しい顔でローラを見つめた。
「……実は、ローラ様が師匠と会って、もしも師匠に恋をしてしまったらと思うと苦しくて」
「……はい?」
全く予期しなかった言葉に、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。