目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
17 生きる意味
ーーとある部屋からヒソヒソと声が聞こえる。部屋のドアは少しだけ空いていて、声の主の一人がエルヴィンだということがすぐにわかった。
「エルヴィン様、この子は安定期に入りました。いつになったら私を正式な妃にしてくださるのですか?」
ドアの隙間からそっと中を覗くと、そこには婚約者であるエルヴィンの腕にからみつく、可愛らしいご令嬢がいた。
(安定期、ということは子供を身籠もっていらっしゃるのね。……これで私は婚約破棄されるのだわ)
エルヴィンが他のご令嬢と懇意の仲になっていることは薄々勘づいてはいた。自分よりもそのご令嬢に夢中で、いつか自分は婚約破棄をされるのだろうと覚悟もしていたのだ。
(元々、政略的な縁談だったし、エルヴィン殿下は私に興味がないこともわかっていた。歩み寄れば少しずつでも分かり合えるかと思っていたけれど……それもやはり無理だったみたいね)
悲しげに微笑み、ローラは静かにその場を後にしようとした、その時。
「安心しろ、あの女はもうすぐ始末する」
「始末って……婚約破棄するのではないのですか?」
「あの女は生意気だ。それに第二王子を持ち上げる貴族たちに気にいられている。もし俺が婚約破棄して今度は第二王子と婚約、もしくは第二王子の取り巻きの貴族との縁談が進むなんてことになってみろ、俺の旗色が悪くなるだろ。あいつは頭がキレるからな、賢い女は政まつりごとには必要ない。消した方が安全だ」
「まぁ、こわぁい」
「エルヴィン様、この子は安定期に入りました。いつになったら私を正式な妃にしてくださるのですか?」
ドアの隙間からそっと中を覗くと、そこには婚約者であるエルヴィンの腕にからみつく、可愛らしいご令嬢がいた。
(安定期、ということは子供を身籠もっていらっしゃるのね。……これで私は婚約破棄されるのだわ)
エルヴィンが他のご令嬢と懇意の仲になっていることは薄々勘づいてはいた。自分よりもそのご令嬢に夢中で、いつか自分は婚約破棄をされるのだろうと覚悟もしていたのだ。
(元々、政略的な縁談だったし、エルヴィン殿下は私に興味がないこともわかっていた。歩み寄れば少しずつでも分かり合えるかと思っていたけれど……それもやはり無理だったみたいね)
悲しげに微笑み、ローラは静かにその場を後にしようとした、その時。
「安心しろ、あの女はもうすぐ始末する」
「始末って……婚約破棄するのではないのですか?」
「あの女は生意気だ。それに第二王子を持ち上げる貴族たちに気にいられている。もし俺が婚約破棄して今度は第二王子と婚約、もしくは第二王子の取り巻きの貴族との縁談が進むなんてことになってみろ、俺の旗色が悪くなるだろ。あいつは頭がキレるからな、賢い女は政まつりごとには必要ない。消した方が安全だ」
「まぁ、こわぁい」