目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
18 居場所
「実は、あの日、エルヴィン様をかばったあの時、私はようやく死ねると思っていたのです」
ローラの言葉に、ヴェルデは両目を見開いてローラを見つめた。
「あの頃の私にはもう、生きている意味がなかったのです。エルヴィン様が私を殺そうと知ったその日から、私の世界は色褪せました。拒絶されないように、世の中のご令嬢のようにただ相手に気にいられるような振る舞いをしていればいいだけなのかもしれません。でも、私にはそれができなかった。私は私としてただ生きていたいだけなのに、それができない。だったら、こんな世界にいる意味がないと、あの時は本気で思っていたのです」
窓から太陽の光が差し込み、静かに微笑むローラを明るく照らす。あまりの眩しさに思わず目を細めたが、そのまま光に吸い込まれて消えてしまうのではないかと思えて、咄嗟にヴェルデはローラの腕を掴んだ。
「ヴェルデ様?」
「……すみません。あなたが、またどこかに行ってしまいそうで」
ヴェルデの返事にローラは息を呑んだ。この人はこんな自分を知ってもまだ、自分をここに繋ぎ止めようとしてくれている。
「師匠が、ローラ様のためを思って守りの魔法をかけたけれど、余計なお世話だったかもしれないと言っていました。それは、そういう意味だったんですね」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに目を閉じた。クレイは自分の当時の気持ちに気づいていた。クレイのことだ、きっとローラに対して申し訳ないと思っただろう。
守りの魔法のせいで、死にたがっていた人間を生かしてしまったと。自分はヴェルデだけではなくきっとクレイにも酷い思いをさせてしまったのだ。ローラの心は罪悪感でいっぱいになる。
ローラの言葉に、ヴェルデは両目を見開いてローラを見つめた。
「あの頃の私にはもう、生きている意味がなかったのです。エルヴィン様が私を殺そうと知ったその日から、私の世界は色褪せました。拒絶されないように、世の中のご令嬢のようにただ相手に気にいられるような振る舞いをしていればいいだけなのかもしれません。でも、私にはそれができなかった。私は私としてただ生きていたいだけなのに、それができない。だったら、こんな世界にいる意味がないと、あの時は本気で思っていたのです」
窓から太陽の光が差し込み、静かに微笑むローラを明るく照らす。あまりの眩しさに思わず目を細めたが、そのまま光に吸い込まれて消えてしまうのではないかと思えて、咄嗟にヴェルデはローラの腕を掴んだ。
「ヴェルデ様?」
「……すみません。あなたが、またどこかに行ってしまいそうで」
ヴェルデの返事にローラは息を呑んだ。この人はこんな自分を知ってもまだ、自分をここに繋ぎ止めようとしてくれている。
「師匠が、ローラ様のためを思って守りの魔法をかけたけれど、余計なお世話だったかもしれないと言っていました。それは、そういう意味だったんですね」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに目を閉じた。クレイは自分の当時の気持ちに気づいていた。クレイのことだ、きっとローラに対して申し訳ないと思っただろう。
守りの魔法のせいで、死にたがっていた人間を生かしてしまったと。自分はヴェルデだけではなくきっとクレイにも酷い思いをさせてしまったのだ。ローラの心は罪悪感でいっぱいになる。