目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
「もしかしてローラ様は余計なことを考えてはいませんか?私の魔法のせいで死にたがっていたローラ様を生かしてしまったと私が思っている、とか」
両手にティーセットを携えていつの間にか部屋に入ってきていたクレイが笑顔で言う。
「ローラ様が気に病むことはないのです。私は私の自己満でやったことなのですから。むしろ私の方がローラ様に酷いことをしてしまいました」
「そんな……」
ティーセットをテーブルに置き、クレイは近くの椅子に静かに座る。
「ローラ様、あなたはヴェルデと共にこの国に来て、ヴェルデと共に過ごしてきました。その間、まだ生きていたくないと思いましたか?まだ、この世界にいたくはないと思っていますか?」
静かに、淡々と聞くクレイに、ローラはヴェルデをそっと見る。ヴェルデはローラの腕をまだ掴んだままだ。
「私は……私は、ヴェルデ様とこの国に来てから今を生きることに必死でした。記憶があいまいだったので、夜眠っている時に夢で記憶が呼び起こされてしまうこともありましたが、辛い夢を見た時はすぐにヴェルデ様が寄り添ってくれます。ヴェルデ様のお屋敷の皆様も、ヴェルデ様の仕事仲間であるフェイン様も、私を快く受け入れてくださいました。私はここにいてもいいのかもしれないと、そう思えるようになったのです」
ローラの返事にクレイは嬉しそうに微笑み、ヴェルデを見た。ヴェルデはローラをただただじっと見つめている。それは本当に大切なものを慈しむような、慈愛に満ちた瞳だった。
両手にティーセットを携えていつの間にか部屋に入ってきていたクレイが笑顔で言う。
「ローラ様が気に病むことはないのです。私は私の自己満でやったことなのですから。むしろ私の方がローラ様に酷いことをしてしまいました」
「そんな……」
ティーセットをテーブルに置き、クレイは近くの椅子に静かに座る。
「ローラ様、あなたはヴェルデと共にこの国に来て、ヴェルデと共に過ごしてきました。その間、まだ生きていたくないと思いましたか?まだ、この世界にいたくはないと思っていますか?」
静かに、淡々と聞くクレイに、ローラはヴェルデをそっと見る。ヴェルデはローラの腕をまだ掴んだままだ。
「私は……私は、ヴェルデ様とこの国に来てから今を生きることに必死でした。記憶があいまいだったので、夜眠っている時に夢で記憶が呼び起こされてしまうこともありましたが、辛い夢を見た時はすぐにヴェルデ様が寄り添ってくれます。ヴェルデ様のお屋敷の皆様も、ヴェルデ様の仕事仲間であるフェイン様も、私を快く受け入れてくださいました。私はここにいてもいいのかもしれないと、そう思えるようになったのです」
ローラの返事にクレイは嬉しそうに微笑み、ヴェルデを見た。ヴェルデはローラをただただじっと見つめている。それは本当に大切なものを慈しむような、慈愛に満ちた瞳だった。