目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
20 初恋の人
「ローラ様は前に、どうして俺がローラ様をそんなに思うのかと聞きましたよね。……ローラ様は俺にとって、初恋の人なんです」
初恋の人。ヴェルデのその言葉にローラは首をかしげる。ローラは百年も眠っていたのだ、ヴェルデとはそもそも生きていた時代が違う。ヴェルデと出会ったのは目覚めてからなので、ヴェルデにとってローラが初恋の人だというのは無理があるのではないだろうか。ローラが不思議そうな顔でヴェルデを眺めていると、ヴェルデは少し笑って話し始めた。
「俺は幼い時に師匠からローラ様の話をよく聞いていました。師匠にとってもローラ様は、……その、特別な存在だったのでしょうね。当時の隣国の姫がどれだけ美しく気高く純粋な方かということを懐かしそうに話すんです。一度だけじゃありません、何かあるたびに思い出してはあんなに素敵な女性はなかなか出会えないと力説するんですよ。そのたびに、俺は当時のローラ様を想像して胸を高鳴らせていました。そんなに素敵な女性がいるなら会ってみたかったと」
少しはにかみながら嬉しそうに話すヴェルデを見て、ローラは顔を真っ赤にする。まさか、眠っている間に自分のことをそんな風に話されていただなんて驚きだ。
「でも、ローラ様がずっと眠り続けていただなんて知らなかった俺は、ローラ様には絶対に会うことはないのだと思っていました。はるか昔にいた、俺とは生きる時代が違う女性。その女性に出会えないのなら、せめてそんな女性のような、純粋で素直な心の美しい女性と出会って恋をしてみたいと思っていました。でも……」
そう言ってヴェルデは顔を曇らせる。
「俺に寄って来る女性はみんな、計算高くて傲慢で、俺自身ではなく俺の見た目や俺の魔法の才能、それによって得られる地位にしか興味がなかった。最初は女性はそんな人たちばかりじゃない、きっとどこかにあなたのような女性がいるはずだと思っていたんです。でも、現実は違かった。あなたのような女性に出会えないと分かった俺は、女性という生き物が苦手になりました。だから、魔法の研究さえできればそれでいい、ずっと一人で構わないと思っていました」
初恋の人。ヴェルデのその言葉にローラは首をかしげる。ローラは百年も眠っていたのだ、ヴェルデとはそもそも生きていた時代が違う。ヴェルデと出会ったのは目覚めてからなので、ヴェルデにとってローラが初恋の人だというのは無理があるのではないだろうか。ローラが不思議そうな顔でヴェルデを眺めていると、ヴェルデは少し笑って話し始めた。
「俺は幼い時に師匠からローラ様の話をよく聞いていました。師匠にとってもローラ様は、……その、特別な存在だったのでしょうね。当時の隣国の姫がどれだけ美しく気高く純粋な方かということを懐かしそうに話すんです。一度だけじゃありません、何かあるたびに思い出してはあんなに素敵な女性はなかなか出会えないと力説するんですよ。そのたびに、俺は当時のローラ様を想像して胸を高鳴らせていました。そんなに素敵な女性がいるなら会ってみたかったと」
少しはにかみながら嬉しそうに話すヴェルデを見て、ローラは顔を真っ赤にする。まさか、眠っている間に自分のことをそんな風に話されていただなんて驚きだ。
「でも、ローラ様がずっと眠り続けていただなんて知らなかった俺は、ローラ様には絶対に会うことはないのだと思っていました。はるか昔にいた、俺とは生きる時代が違う女性。その女性に出会えないのなら、せめてそんな女性のような、純粋で素直な心の美しい女性と出会って恋をしてみたいと思っていました。でも……」
そう言ってヴェルデは顔を曇らせる。
「俺に寄って来る女性はみんな、計算高くて傲慢で、俺自身ではなく俺の見た目や俺の魔法の才能、それによって得られる地位にしか興味がなかった。最初は女性はそんな人たちばかりじゃない、きっとどこかにあなたのような女性がいるはずだと思っていたんです。でも、現実は違かった。あなたのような女性に出会えないと分かった俺は、女性という生き物が苦手になりました。だから、魔法の研究さえできればそれでいい、ずっと一人で構わないと思っていました」