目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
ローラはうつむいてためらいがちに口を開く。
「クレイ様もそうですが、あなたは私のことを過大評価しすぎです。クレイ様が見た私は、あくまでも公式の場で繕った姿です。私はそんなに素敵で完璧な女性ではありません。一緒に過ごしていくうちに、きっとあなたは幻滅してしまう……」
本当の自分でいればいるほど、エルヴィンは自分を疎み、離れて行った。世の中のご令嬢のように、相手が好むふるまいをしてただニコニコしているだけのことができない自分に、ヴェルデだってきっと愛想をつかすだろう。そう思ってうつむいていると、ヴェルデは頬に添えた片手でローラの顔を上げ目を合わせる。
「俺はお飾りで女性を隣に置こうだなんて思っていません。さっきも言ったでしょう、あなたがあなたでいられる場所を俺はつくりたいんです。それに、あなたが完璧じゃないことくらいわかっているつもりですよ。もちろん俺だって完璧じゃない」
「いえ、ヴェルデ様は完璧といっても過言ではありません。そんなヴェルデ様の隣に私がいるなんて、不相応で……」
「ほら、ローラ様だって俺のこと過大評価しすぎです。同じですよ。一緒に過ごしていくうちに、幻滅してしまうのはローラ様の方かもしれない」
そんなことない、と言おうとしてヴェルデの顔をみて、ローラはハッとした。さっきから自分はなにを恐れているのだろう。まるでヴェルデが自分から去ってしまうかもしれないことを怖がって、予防線を張っているかのようだ。どうしてそんなことをする必要があるのだろう?
心臓がドクドクとうるさい。いつの間にか自分の中でヴェルデの存在が大きくなっていたことに驚きを隠せず、ローラはただただ顔を真っ赤にしてヴェルデを見つめていた。
「ローラ様?」
「クレイ様もそうですが、あなたは私のことを過大評価しすぎです。クレイ様が見た私は、あくまでも公式の場で繕った姿です。私はそんなに素敵で完璧な女性ではありません。一緒に過ごしていくうちに、きっとあなたは幻滅してしまう……」
本当の自分でいればいるほど、エルヴィンは自分を疎み、離れて行った。世の中のご令嬢のように、相手が好むふるまいをしてただニコニコしているだけのことができない自分に、ヴェルデだってきっと愛想をつかすだろう。そう思ってうつむいていると、ヴェルデは頬に添えた片手でローラの顔を上げ目を合わせる。
「俺はお飾りで女性を隣に置こうだなんて思っていません。さっきも言ったでしょう、あなたがあなたでいられる場所を俺はつくりたいんです。それに、あなたが完璧じゃないことくらいわかっているつもりですよ。もちろん俺だって完璧じゃない」
「いえ、ヴェルデ様は完璧といっても過言ではありません。そんなヴェルデ様の隣に私がいるなんて、不相応で……」
「ほら、ローラ様だって俺のこと過大評価しすぎです。同じですよ。一緒に過ごしていくうちに、幻滅してしまうのはローラ様の方かもしれない」
そんなことない、と言おうとしてヴェルデの顔をみて、ローラはハッとした。さっきから自分はなにを恐れているのだろう。まるでヴェルデが自分から去ってしまうかもしれないことを怖がって、予防線を張っているかのようだ。どうしてそんなことをする必要があるのだろう?
心臓がドクドクとうるさい。いつの間にか自分の中でヴェルデの存在が大きくなっていたことに驚きを隠せず、ローラはただただ顔を真っ赤にしてヴェルデを見つめていた。
「ローラ様?」