目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
 ヴェルデの話を聞いて、ローラはハッとして顔を赤らめる。一緒に寝ているときはローラを気遣って何もしないが、考えてみればヴェルデは我慢してくれているのだ。

 ローラ次第なのだろうが、いつかは、ヴェルデとそういうことになるのだろうか。

 ヴェルデを見つめるとヴェルデは微笑みながら首をかしげた。

(ヴェルデ様と……ってキスだってまだしていないのに!というか、私はヴェルデ様とそういうことがしたいの……?)

 もしそうなったとしたら。考えてみると別段嫌な気持ちにはならない。むしろ、なんとなく嬉しいような気がしてローラは胸が高鳴った。

「ローラ様?」

 ヴェルデが聞くと、ローラは顔を真っ赤にしてすぐに恥ずかしそうにうつむいた。そんなローラを見て、ヴェルデは両手で顔を覆って言う。

「そんな可愛い顔しないでください!本当に耐えられなくなる!」

 ヴェルデは静かに深呼吸すると、ソファから立ってローラに近寄った。

「でも、その様子だと嫌がられているわけではないみたいですよね。今は遠慮しておきますが、そのうちローラ様の心を完全に落としてみせますから。楽しみにしててくださいね」

 耳元でそっと囁くと、頬にちゅっと口づけた。突然のことに固まるローラを見ながら、おやすみなさいと微笑んでヴェルデはソファに横になった。

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