目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする

24 懇親会

「やぁ、ヴェルデ、変わりないようだな。それにローラ様。お元気そうで何よりです」

 サイレーン国とティアール国の懇親会当日がやってきた。ローラの目の前には、正装に身を包んだメイナードとその婚約者で美しく着飾ったティナがいる。ローラの隣には正装に身を包んだヴェルデがいた。

 ヴェルデとメイナードが二人揃い、その美しい姿にローラは思わず目を奪われる。

(メイナード様もヴェルデ様も普段からお美しい方たちだけれど、こうして正装に身を包んでいると余計に美しさが増している……まぶしいくらいだわ)

「お久しぶりです、メイナード殿下。それにティナ様もようこそお越しくださいました」

 ヴェルデがそう言い、それに合わせてローラもドレスの裾を掴んで柔らかくお辞儀をする。ティナもドレスの裾を控えめにつかみ、ふわっとお辞儀をした。ティナは緩くウェーブかかった赤い髪を鮮やかになびかせ、キラキラと細かい宝石が縫い付けられた淡いピンク色のドレスに身を包んでいる。さすがはティアール国の第一王子であるメイナードの婚約者、たたずまいが洗練されている。そしてその姿を見て、ローラはいつかの自分の姿を思い出していた。

(私も、百年前はエルヴィン様の隣でああやって他国の偉い方たちに挨拶をしていたんだわ)

 懐かしそうにティナを見つめると、ティナと目が合う。静かに微笑んで会釈をすると、ティナも微笑み返す。だが、その微笑みはどことなくぎこちなく、まるで警戒されているようだった。

(もしかして、私がメイナード様の側妃になりそうだったことを知ってらっしゃるのかしら)

 もし何か誤解をしているようであれば声をかけねば、そう思ってティナに話しかけようとしたとき、ヴェルデがメイナードに話しかけた。

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