目覚めた眠り姫は目覚めさせてくれた魔術師に恋をする
26 救出
「その汚い手を一刻も早くどけてローラ様から離れろ!」
禍々しいほどの殺気を纏い、ヴェルデがベリックを睨みつけている。
「これはこれはサイレーン国の筆頭魔術師殿。ずいぶんと到着が早かったですね」
ローラの肩を抱きながらベリックは薄ら笑いを浮かべている。その片手にはいつの間にか鋭い短剣が握られており、剣先はローラの喉元に向けられていた。
「オーレアン卿、あなたが黒幕だったのか。ティアール国へ来るに当たりアンドレの警護にと自ら進言したのは、このためか」
メイナードが低く怒りのこもった声でベリックへ言う。だがその声を聞いてもベリックは平気な顔をしたままだ。
「メイナード殿下。今からでも遅くはありません。ローラ様を今一度我が国に連れ戻し、聖女として崇めるのです。わざわざサイレーン国などに渡すなど愚かなことだ」
ベリックはメイナードの近くにいるガレスを一瞥してそう吐き捨てた。
「ずいぶんと我が国に対して好戦的な態度を取るのだな」
ガレスはベリックを見つめながらつぶやいた。
「サイレーン国と同盟を結ぶなど生ぬるい。対立して争い我が国のものにしてしまった方が国としての利益は大きいでしょう。教会の力も拡大する」
「オーレアン卿、あなたの考えは間違っている。戦いなどしても民のためにはならない。一部の人間だけが私腹を肥やし多くの民が苦しむことは王も私も良しとしない」
禍々しいほどの殺気を纏い、ヴェルデがベリックを睨みつけている。
「これはこれはサイレーン国の筆頭魔術師殿。ずいぶんと到着が早かったですね」
ローラの肩を抱きながらベリックは薄ら笑いを浮かべている。その片手にはいつの間にか鋭い短剣が握られており、剣先はローラの喉元に向けられていた。
「オーレアン卿、あなたが黒幕だったのか。ティアール国へ来るに当たりアンドレの警護にと自ら進言したのは、このためか」
メイナードが低く怒りのこもった声でベリックへ言う。だがその声を聞いてもベリックは平気な顔をしたままだ。
「メイナード殿下。今からでも遅くはありません。ローラ様を今一度我が国に連れ戻し、聖女として崇めるのです。わざわざサイレーン国などに渡すなど愚かなことだ」
ベリックはメイナードの近くにいるガレスを一瞥してそう吐き捨てた。
「ずいぶんと我が国に対して好戦的な態度を取るのだな」
ガレスはベリックを見つめながらつぶやいた。
「サイレーン国と同盟を結ぶなど生ぬるい。対立して争い我が国のものにしてしまった方が国としての利益は大きいでしょう。教会の力も拡大する」
「オーレアン卿、あなたの考えは間違っている。戦いなどしても民のためにはならない。一部の人間だけが私腹を肥やし多くの民が苦しむことは王も私も良しとしない」