アイドル様は天然キラー

NAKIの可愛さに悶えながら課題を終わらせた後、夕食を作るべくキッチンへと向かう。



冷蔵庫を開けてみると、思ったより食材が少なかった。



しまったぁ・・・買い物してくるべきだった・・・。



顔を手で覆いながら後悔していると、チルド室に鮭の切り身があることに気が付く。



それに、トマトときゅうりもあった。



とりあえず鮭はムニエルにしてトマトときゅうりはマリネにでもしようかな。



「NAKI、今日の夕飯、鮭のムニエルとトマトときゅうりのマリネになるんですけど食べれますか?」



「うん、大丈夫。・・・あと、家にいる時はNAKIじゃなくて奈央樹って呼んで?」



「あっ・・・失礼しました・・・」



NAKIに声をかけると“奈央樹”と呼ぶように注意されてしまう。



とは言っても、いつも“NAKI”って呼んでるのに、急に“奈央樹”なんて呼べないよ・・・!



なるべく名前を出さないようにするか・・・ゴメンね、NAKI。



そう思いながら、ムニエルとマリネを作り始める。



覚えている限りそんなにむずかしくはないはずだし・・・チャチャッと作っちゃうか。



しばらくコンロと向き合って料理をしていると、NAKIがキッチンへ来て私の後ろに立って肩に手を置いた。




「・・・お腹空いた・・・まだ?」



「ミ゛ッ・・・!?」



私の顔の横に顔を出し、手元を見つめるNAKI。



その距離の近さに変な声が出た。



待って待って待って!?めっちゃいい匂いするんだけど!?



香水かなにかつけてるの!?



でも、香水って感じの匂いじゃない気がする。



NAKIって確か香水の匂いあんまり好きじゃなかったはずだし・・・。



だとしたら柔軟剤の匂いか!?



ほァ・・・ちょっと昇天しそう・・・。



「もっ、もうすぐ出来ますんでテーブルで待っててください・・・!!」



「見てちゃだめ?」



「構いませんけど・・・危ないので離れててください」



「?皿に盛りつけるだけなのに?」



「はい、危ないです」



あなたが近いせいで私のライフがとても危ないんです。



さすがに口には出さないけど、そんなことをずっと考えていた。



そんな中、鮭のムニエルを皿に盛り付ける。



「あ、俺持ってく。貸して」



「ヒョエッ・・・!?」



皿を置こうとした時、NAKIの手が伸びてきて指同士が触れてしまう。



おっ・・・推しに触っちゃった!?!?



どっ、どどどどうしよう!?腹切るべき!?



「?どうしたの?静電気?」



「イ、イエ・・・ナンデモナイデス・・・」



NAKIは私と指に触れてしまったことを全く気にしていないようで、あっけらんとしている。



NAKIはなんとも思わなくても私にとっては動揺することなんだよ!!



そう思いながら、もう1つのムニエルとマリネをさらに盛り付けた。

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