アイドル様は天然キラー
その後、お風呂を済ませてリビングに戻るとソファーに座って読書をしているNAKIがいた。
しかも、黒縁のメガネをかけながら。
「ミ゛ッ!?」
初めて見るNAKIのメガネ姿に、驚きと動揺を隠せない。
NAKIが・・・あのNAKIがメガネをかけている!?
なに!?天変地異レベルの衝撃なんだけど!?
そんなことを考えている時NAKIが本から顔を上げた。
「あれ?凛、どうしたの?そんな所で突っ立って」
メガネをかけたNAKIが首をかしげながら私の方を見る。
わぁ〜・・・メガネNAKI、尊い・・・!!
「あ、いや・・・メガネかけてたんだって・・ちょっとびっくりしてて・・・」
「ああ、これ?滅多にかけないけど・・・本読む時とかにかけてるんだ。俺、遠視だから」
メガネのふちを触りながら答える。
遠視ってことは、近くのものが見えないのか・・・だからいつもはメガネかけてないのね。
「は・・・初知り・・・課題してる時もかけてなかったし、ライブや配信だって、かけないのに・・・レアだ」
「仕事でかけることないからね。俺がメガネなの知ってるのはバイオレットフィズのメンバーと三咲さんだけかな?」
朝に口にした“ミサキさん”が再び話題に上がる。
ミサキさん・・・か。
寝ぼけて呼んでたし、滅多にかけないはずのメガネ姿を知ってるってことは彼女さんかな?
「三咲さんからは不評なんだけどね」
「え?そうなの?こんなに似合ってるのに?」
「目が大きく見えるから童顔に見えるんだって。前に言ってた」
本にしおりを挟みながら私の方を向くNAKI。
確かに、普段より目が大きく見える・・・遠視用のメガネだからかな?
顎に手を当てながらNAKIの顔をマジマジと見る。
「まぁ確かに・・・裸眼の時より目が大きく見えますね。でも、それはそれで可愛くて好きてますけどね、私は」
「俺、別に可愛さを売りにしてる訳じゃないから、かけない方がいいってさ」
「かけてなくてもNAKIは可愛いですが?」
NAKIの言葉にキョトンとしながら答える。
あれが可愛くないって思う人はどうかしてると思う。
「・・・俺、可愛い?」
「はい、可愛いです」
「クール系でやってるのに?」
「はい、可愛いです」
NAKIの言葉に食い気味に即答する。
可愛いに決まってるじゃん、何を言っているんだこの子は。
「ふぅん・・・そっか」
しおりを挟んだ本をソファーにおき、立ち上がって私のいる方向へと歩いてくるNAKI。
あまり距離が近いと私が瀕死になると思って後ろに下がるけど、トンッと壁にぶつかってしまう。
そんな私の事なんか気にせずに近付いてくるNAKIはメガネを外して私に顔を近付けた。
「これでも・・・可愛い?」
目を細めたあと、私の耳元でいつもの声より低い声を出すNAKI。
「ほぁっ!?・・・いっ、いえっ・・・!!格好良いですッ・・・!!」
ささやかれた方の耳を押さえながら必死の思いで言葉を紡ぐ。
ヒィ〜・・・!!何今の低音ボイス!?孕むわ!!
しかも近い!!至近距離なのに肌綺麗だった!!
毛穴レスってこういうことを言うのか・・・!!
しかもめっちゃいい匂いするし!!なんなんだこのパーフェクト人間は!?
「・・・そ」
満足そうに微笑んでメガネをかけ直し、ソファーへと腰かけてしおりを挟んでいた本を開くNAKI。
私は、しばらくその場から動けずに満足そうに本を読んでいるNAKIを見つめることしか出来なかった。