アイドル様は天然キラー

朝食を食べ終わり、皿を片付けてくつろいでいる時、席を外していたNAKIがスマホを持ちながらリビングへと入ってくる。



「ねぇ、凛。会って欲しい人がいるんだけど」



「え?会って欲しい人?」



顔を上げてNAKIの方を見る。



会って欲しい人って誰・・・?



「うん。三咲さんがあいさつさせて欲しいって」



「えっ!?“ミサキさん”って前に言ってた人!?」



私の記憶が正しければ、“ミサキさん”はNAKIが前に私をその人と間違えて呼んだり、メガネをかけていた時に話題に出たNAKIの彼女さんらしき人の名だ。



その人が会いたいって・・・えぇ!?



どうしよう!?推しの彼女と会うなんてっ・・・!!



心の準備が・・・!!



「あともう少しで着くってLINE来たから、もうすぐ来るよ」



「えっ・・・!?今からでもオシャレした方がいいですかね!?」



NAKIの言葉を聞き、自分の着ている服を見て慌て出す。



NAKIの彼女さんってぐらいだ、かなりの美人さんか可愛い子が来るだろう。



そんな彼女さんに“ダサい女”って思われたくないし・・・!!



「?必要ないと思うけど?ただあいさつに来るだけだし」



「だからって部屋着で出迎える訳にはいきませんよ〜!!ちょっと着替えてきます!!」



ソファーから立ち上がって、バタバタと大急ぎで自分の部屋へと向かう。



時間ないぞ〜!!



「・・・別にいいのに」



階段を駆け上がってる途中、NAKIの声が聞こえてくるけど、お構い無し。



なんたって彼女さんに会うんだもん、ちょっとでもよく見せないと!!



そんなことを考えながら、部屋に行って服を着替える。



それにしても彼女さんと会うのキンチョーするなぁ〜・・・!!



でも、なんで急にあいさつしたい、なんて言い出したんだろ?



もしかして“なんでただのオタクの家にいんのよ!!”的なやつだったり・・・?



そんな考えが頭をよぎった途端、背筋が凍りそうになり身震いする。



女の嫉妬は怖いからな〜・・・!!



そういうことになりかねないよね。



そう考えた時、ハッとする。



でも、そういうことになるならなんでNAKIは彼女さんの家に行かなかったんだろ・・・?



そっちの方が、変に波風立てずに済んだんじゃ・・・?


< 19 / 39 >

この作品をシェア

pagetop