アイドル様は天然キラー
朝食を食べ終わり、皿を片付けてくつろいでいる時、席を外していたNAKIがスマホを持ちながらリビングへと入ってくる。
「ねぇ、凛。会って欲しい人がいるんだけど」
「え?会って欲しい人?」
顔を上げてNAKIの方を見る。
会って欲しい人って誰・・・?
「うん。三咲さんがあいさつさせて欲しいって」
「えっ!?“ミサキさん”って前に言ってた人!?」
私の記憶が正しければ、“ミサキさん”はNAKIが前に私をその人と間違えて呼んだり、メガネをかけていた時に話題に出たNAKIの彼女さんらしき人の名だ。
その人が会いたいって・・・えぇ!?
どうしよう!?推しの彼女と会うなんてっ・・・!!
心の準備が・・・!!
「あともう少しで着くってLINE来たから、もうすぐ来るよ」
「えっ・・・!?今からでもオシャレした方がいいですかね!?」
NAKIの言葉を聞き、自分の着ている服を見て慌て出す。
NAKIの彼女さんってぐらいだ、かなりの美人さんか可愛い子が来るだろう。
そんな彼女さんに“ダサい女”って思われたくないし・・・!!
「?必要ないと思うけど?ただあいさつに来るだけだし」
「だからって部屋着で出迎える訳にはいきませんよ〜!!ちょっと着替えてきます!!」
ソファーから立ち上がって、バタバタと大急ぎで自分の部屋へと向かう。
時間ないぞ〜!!
「・・・別にいいのに」
階段を駆け上がってる途中、NAKIの声が聞こえてくるけど、お構い無し。
なんたって彼女さんに会うんだもん、ちょっとでもよく見せないと!!
そんなことを考えながら、部屋に行って服を着替える。
それにしても彼女さんと会うのキンチョーするなぁ〜・・・!!
でも、なんで急にあいさつしたい、なんて言い出したんだろ?
もしかして“なんでただのオタクの家にいんのよ!!”的なやつだったり・・・?
そんな考えが頭をよぎった途端、背筋が凍りそうになり身震いする。
女の嫉妬は怖いからな〜・・・!!
そういうことになりかねないよね。
そう考えた時、ハッとする。
でも、そういうことになるならなんでNAKIは彼女さんの家に行かなかったんだろ・・・?
そっちの方が、変に波風立てずに済んだんじゃ・・・?