アイドル様は天然キラー
「・・・お心遣い、ありがとうございます」
私の言葉を受け、少し間を開けてから深々と下げていた頭をあげて優しく微笑む三咲さん。
そして、三咲さんはこう続けた
「それで今後の事なのですが・・・さすがにずっとNAKIを引き受けて頂くのは心苦しいので、私の家で引き取ろうと思うのですが──」
「やだ」
「なっ・・・NAKI!!何を・・・!!」
三咲さんが言葉を言い切る前に拒否をするNAKI。
三咲さんには申し訳ないけど・・・NAKIの拒否のし方、可愛いなぁ・・・!!
「俺、凛の所がいい」
「くぁwせdrftgyふじこlp〜〜っ!?」
そう言って近くにいた私の腰に腕を回し、腕の中へと引き寄せるNAKI。
突然の事に口が回らずよくわからない言語を口にしてしまう。
やばい!!NAKIめっちゃいい匂いする!!
ていうか死ぬ!!過剰供給で死ぬ!!
「!?・・・ハァ・・・NAKI、わかったから離れなさい。その子が発言できないほど取り乱してしまってるよ」
「いや 」
「ヒギャッ!?」
離れるように進言してくれる三咲さんに対して抵抗するように抱きしめる腕に力を込めるNAKI。
推しに力強く抱きしめられてるという恍惚すぎる状況に、悲鳴をあげることしか出来ない。
「・・・とにかく!NAKIがどう言っても同居してもいいかは彼女次第なんだから──」
「ね、いいよね?」
「ひゃい!!」
三咲さんの言葉を遮るように、私の耳元で低い声を出すNAKI。
NOと言えないような言葉に、声を裏返しながら返事をした。
これは誰だってハイとしか言えないって・・・!!
「・・・ほら、良いって」
「・・・ハァ〜・・・」
NAKIの行動に深いため息をつきながら片手で頭を抱える三咲さん。
「すみません、うちのNAKIがわがままを・・・。嫌になったらいつでも追い出して構わないので・・・」
「あ、いえ、大丈夫です。お気になさらずに」
申し訳なさそうにしている三咲さんに対して微笑みながら大丈夫だと伝える。
三咲さん、苦労してるんだろうな・・・。
さっきから出てくるため息がどれも深い。
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね。ほら、NAKIもお世話になるんだから何か一言ぐらい──」
「よろしくね」
「ホワッ!?」
再度三咲さんの言葉を遮るように耳元でささやくNAKI。
耳に吐息がかかり、くすぐったさと耳に残るNAKIの甘い声に身を縮めながら断末魔をあげる。
それを聞いた三咲さんは、何度目かの深いため息をついた。