アイドル様は天然キラー
リビングでくつろいでいると、奈央樹くんがお風呂から上がったようで、首にタオルをかけながらリビングに入ってくる。
だけど、少し寒そうにしている。
「奈央樹くん、寒い?ホットミルク飲む?」
「飲む」
「わかった、ちょっと待ってて。秒で作ってくる」
ソファーから立ち上がりながらブランケットを奈央樹くんに差し出しながら問いかける。
すると、奈央樹くんはそのブランケットに身を包みながら食い気味に答えた。
そんな奈央樹くんに待つように伝えてパタパタとスリッパの音を立てながらキッチンへと向かう。
耐熱性のカップに牛乳を注ぎ、ラップで覆ってからレンジでチンする。
温め終わったミルクにはちみつを入れてかき混ぜたあと、奈央樹くんの元に持っていく。
「はい。いつものようにはちみつも入れたよ」
「凛、ありがと」
差し出したカップを両手で受け取り、フー・・・フー・・・と息を吹きかけて冷ましながら1口飲む奈央樹くん。
カップから口を離すなり、ホッと息を吐いた。
「あったかい・・・」
ふにゃっと顔を緩ませながらチビチビと飲む奈央樹くんを見ながら隣に腰掛ける。
「そういえば、今日20:00から配信でしょ?体調大丈夫なの?」
そんなに寒そうにしてるなら、もしかすると風邪をひく兆候かもしれない。
具合が悪い中配信をするってなったらしんどいんじゃないかな?
「うん、大丈夫。またお兄さんの部屋借りるね」
「ご随意にどうぞ。私は前と同じくリビングに居るね」
「うん、お願い。・・・でも、前みたいに叫ばないでね」
「うっ・・・気をつけます・・・」
この前に奈央樹くんが配信をした時、シャツにカフェオレをこぼしちゃって・・・画面を切ったと思い込んだ奈央樹くんが、配信がついたまま生着替えをしだして・・・。
その衝撃に耐えきれなくてリビングから叫び声を上げてしまった。
その時は奈央樹くんが“隣の部屋からだ”って誤魔化してくれたんだけど、ガッツリ私の声が入っちゃったんだよね。
「まぁ、配信に入らない程度なら叫んでもいいよ」
「そんな叫ぶのに加減とかできませんって・・・」
こっちは尊くて思わず叫んでしまってるのに、調整しろってのは無理な話だ。
こうなったらクッションに顔埋めて叫ぶか・・・。
「ねぇ、凛」
「ん?なに?」
「・・・猫って、好き?」
カップを両手で持ちながら、私の方をのぞきこんでくる奈央樹くん。
猫か・・・好きだけど、一体どうしたのだろうか。
「好きだよ。それがどうしたの?」
「あの・・・帰ってくる時、捨て猫がいて・・・その・・・子猫2匹、飼えないかなって・・・」
「え?子猫?・・・まぁ、2匹ぐらいなら・・・?」
「本当!?」
私の言葉に、嬉しそうにしている奈央樹くん。
私も猫を飼いたいと思ってたし、ちょうどいいかも。
「じゃあ。明日拾ってくる!ありがとう!!」
「ふぐっ・・・キラキラスマイル・・・100点満点・・・!!」
私が了承すると、嬉しそうに笑顔を浮かべる奈央樹くん。
その可愛さに胸を押さえて悶えることしか出来なかった。