アイドル様は天然キラー
奈央樹くんとドラマを見終わったあと、お風呂を済ませてリビングで本を読みながら過ごす。
まだちょっとさっきの衝撃が残っている。
ドラマの方じゃなくて、奈央樹くんの行動に、だ。
「ねぇ、凛」
そんな中、奈央樹くんの声が後ろから聞こえて振り返ると、クッションを抱きしめながらリビングの入口に立っていた。
待って待って!!推しがクッション抱えてるとか天使か!?
「どうしたの?」
「一緒に寝よ?」
「ミ゙ッ・・・!?」
奈央樹くんの言葉を聞いて読んでいた本をソファーに叩きつける。
い、今、一緒に寝よって言った!?
私と奈央樹くんが!?Why!?
「え・・・なんで?」
「今すごく眠くて・・・いつも凛が寝た後に部屋に行ってたけど眠気に耐えられなくて。一緒に寝て欲しい」
クッションを抱きしめながら目を擦り、眠そうにしながら言葉を紡ぐ奈央樹くん。
確かに、奈央樹くんと同居してから毎日のように私の隣で寝ている。
だけど、それは私が寝てて気付かないうちに寝てたから起きたらそうなってたって感じだ。
さすがに意識がある状態で一緒に寝るとか無理!!
「い、いや・・・!!さすがに──」
「・・・だめ?」
「ダメじゃないです!!」
さすがにダメだと言おうとした時、奈央樹くんが首を傾げながら甘えた口調で聞かれてしまい、反射でOKと答えてしまう。
あぁ・・・またやってしまった・・・。
推しのお願いは断れないって〜・・・!!
「ふふっ、ありがと。じゃあ、来て」
「ふぁい」
前を歩く奈央樹くんの後ろをついて行きながら、私の部屋へと向かう。
そして、奈央樹くんは私の部屋に入ると、私のベットへと潜り込んだ。
「ねぇ、凛。早く」
「は、はい・・・失礼しまーす・・・」
奈央樹くんが先にいるベットに恐る恐る入り、隅で横になる。
さすがにこの状況はマズイのでは・・・?
「凛、そんなに端にいたら落ちちゃうよ。もっとこっち来て」
「ヒギャッ・・・!?」
奈央樹くんは隅にいる私の体に腕を回し、私を自分の方へと引き寄せた。
さすがに近い!!近い〜!!
この距離はダメですよ!!
そんなことを考えている中、奈央樹くんは眠りに落ちたらしく、寝息を立て始めた。
寝るの早っ!?
よっぽど眠かったのかな・・・?
すやすやと眠る奈央樹くんの姿を見つめながらそんなことを考える。
いつも気が付いたら私の隣で寝てるし、1人で眠れないって言ってたよね。
なんでだろ?
「まぁ、考えてもしかたないよね」
そう呟きながら寝返りを打って奈央樹くんに背中を向けて寝ようとする。
その時、後ろから奈央樹くんに抱きしめられてしまう。
「っ・・・!?ちょっ・・・!!」
後ろを振り返って、さすがに離れるようにと伝えようとするけど、奈央樹くんは寝ているようだ。
奈央樹くんを起こさないとこの状況からは脱却できない。
だけど、寝起きの悪い奈央樹くんが起きてくれるはずがない。
つまりは、奈央樹くんが離さない限り、朝までこのままということになる。
「っ〜〜〜・・・!!」
私、このまま寝るの!?
えっ!?寝れないけど!?
しかもいい匂いするし・・・!!くっついてるところ暖かいし!!
しかも寝顔めっちゃ可愛いし!
抱きつかれながら悶えているとき、TwitterのDMに連絡が来ていた。
なんだろう・・・こんな時間に。
スマホを手に取りその通知に目を通すと、そこにはこう書かれていた。
“NAKI、アンチついてない?”と。
その言葉に、私はNAKIの配信チャンネルを開く。
コメント欄を見ると、何個にも分けてアンチコメントが書かれていた。
ど、どういうこと・・・?
これ、NAKIは知ってるの・・・?
衝撃的な光景を見た私は、結局眠りについたのは朝方だった。