アイドル様は天然キラー
もらったカップケーキと金平糖を写真に収めたあと、1口1口大切に食べる。
調べたところ、このカップケーキは最近話題になってるお店のカップケーキだったらしく、めっちゃ美味しい。
しかも、あのNAKIが私にくれたという幸福。
幸せに浸りながらふとなんでチョコレートじゃなかったのかを考えてしまう。
私は別にチョコレートは嫌いじゃない。
チョコが嫌いならチョコ以外の贈り物は分かるけど・・・なんでだろ?
帰ってきたら聞いてみようかな?
そう考えながらバイトの準備をし始め、金平糖を口に含みながらバイトへと向かった。
あ、この金平糖・・・ぶどうみたいな味するな。
とは言っても秒で着く距離だから金平糖が溶け切る前に到着した。
「あっ。小豆沢さん、おはよ。一緒に頑張ろうね〜」
店裏から入ろうとした時、同じ時期にバイトとして入った佐藤 和樹さんが声をかけてくる。
今日一緒なんだ。
佐藤さんって気配りしてくれるから仕事しやすいんだよなぁ。
「あ、佐藤さん。おはようございます、よろしくお願いしますね」
「!・・・今日ルンルンだね、なにかあったの?」
「え?そうですか?」
佐藤さんの方を向いてあいさつをした瞬間、目を見開いてから笑みを浮かべて聞いてくる。
推しからホワイトデーの贈り物もらったからかな?
「・・・もしかして、好きな人からホワイトデーのお返し・・・もらえたとか?」
「うーん・・・そういう感じではないですね・・・」
顎に手を当てながら考え込む。
NAKI──いや、あのお返しは奈央樹くんからか。
どちらにせよ、推しからお返しがもらえたことは純粋に嬉しい。
だけど、あくまで推しであって好きな人ではない。
だからどう言えばいいのか・・・。
「・・・それ、俺とシフト一緒だからって思っていいのかな・・・?」
「へ?」
私の言葉を聞き、ボソッと何かを呟く佐藤さん。
俺とシフト一緒だから・・・?
「ふふっ、なんでもないよ。そうだ、コレ貰って?」
「・・・キャンディー?」
キョトンとしていると、佐藤さんがポケットから何かを握り私の手にポトンと置く。
それは、可愛い包みのキャンディーだった。
「バレンタインに貰ったお菓子のお礼。最近乾燥するからね」
そう言って店内へと入っていく佐藤さん。
バレンタインにチョコ渡したと言っても、袋売りしてるキットカットを渡しただけだ。
そんなんでいいんかってぐらい、義理も義理。
お返しなんていらないぐらいのに、お返しに貰ったのはまさかのキャンディー。
ホワイトデーにキャンディーを送る意味を知らないほど、私は無知じゃない。
・・・嘘でしょ・・・?