アイドル様は天然キラー

バイトが終わり、着替えをしてから家へと帰る。



バイト前に貰ったキャンディーを口に含みながら家の中へと入ると、奈央樹くんが先に帰っていたみたいだ。



「おかえり、凛」



「ただいま。今日早いね」



「うん、今日はそんなに仕事なかったから」



リビングにあるソファーでくつろいでいる奈央樹くんに声をかけながらソファーでくつろぐ。



「?凛、今何か食べてる?」



「ん?あぁ、キャンディー舐めてる。バイト前にもらったから」



奈央樹くんの隣に座った時、奈央樹くんが問いかける。



帰り際に舐め始めたキャンディーがまだ残っていたのだ。



「!!・・・誰からもらったの!?」



「え、バイト先の人に・・・」



「男?女?」



「・・・まぁ、男の人だね」



体を前のめりにしながら、食い気味に質問してくる奈央樹くん。



奈央樹くんがこんなに必死なの、初めて見た・・・。



「・・・そう・・・俺と考えること一緒かよ・・・」



前のめりになるのをやめ、ソファーに背をつけながらボソリと呟く奈央樹くん。



「?一緒って?」



「・・・なんでもない。それより、俺からのホワイトデーの贈り物の意味、わかった?」



聞こえたことの意味がわからずに聞き返す。



すると、少し間を開けてからなんでもない、と答えて話題を変えた。




「美味しかったよ。あれ、有名所のカップケーキだよね?」



「・・・気付かないの?」



「?なにが?」



素直に感想を伝えると、キョトンとした表情で私を見つめる奈央樹くん。



気付かないのって・・・何に対してなんだろう?



「・・・ホワイトデーのお返しの意味、知らない?」



「あー・・・キャンディーはさすがに知ってるけどそれ以外は知らないかな?それがどうかしたの?」



「・・・このやり方じゃ伝わらないか・・・」



ホワイトデーの贈り物の意味なんて、今まで考えたこと無かったし全く知らない。



そう伝えると、片手で頭を抱えてボソッと呟く奈央樹くん。



何が伝わらないんだろう・・・奈央樹くんは、私になにか伝えたいことがあるのかな?



「どうかした?私になにか伝えたいことでもあるの?」



「・・・うん、そうなんだけど・・・今度改めて言うよ」



「?うん・・・わかった・・・」


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