アイドル様は天然キラー

第6章 関係の変化

西園寺 奈央樹side



3月14日ホワイトデー、俺は凛にカップケーキと金平糖を渡した。



意味は──“特別な人”と“あなたが好き”。



自分でも遠回しな告白だなとは思ってたけど、凛はその事に気付いていないようだ。



意味ぐらい調べて欲しいものだ。



そうすれば、俺の気持ちは伝わるはずなのに・・・。



そんなことを思っていた時、凛がキャンディーを舐めていた。



誰に貰ったかを聞いたら、バイト先の男から貰ったと言われてしまう。



ホワイトデーにキャンディーを送るのは、あなたが好きという意味だ。



その男も凛に気があるのか・・・そう思った俺は、次の日に凛のバイト先へと向かった。



入口の前で凛がいるのを確認した時、隣にやけに距離の近い男がいるのに気が付いた。



・・・アイツか、凛にキャンディーを渡したのは。



近過ぎ、凛から離れてよ。



そう確信した俺は、店内に入るなりその男を睨みつけながら凛に手を振った。



とは言っても、何かが欲しくて来た訳じゃないから何を買おうか・・・。



そう悩んでいる時、凛とその男は何かを話していた。



距離を詰めながら凛に迫るその男に、テキトーにその辺にあった飲み物を手にして凛の元に駆け寄り、レジをしてもらう。



俺が商品をレジに置いて凛に声をかけた時、ホッとしたような表情になる。



俺の凛に近付くなよ。



そんな思いのまま、その男を牽制するために上がる時間を聞いた。



その時、わざと家でドラマを観ようと声を張って伝える。



これで牽制できただろ・・・そう思いながら、凛が出てくるのを待った。



鈍感な凛の事だ、俺が牽制をしているなんて気付きもしないだろう。



多分だけど直接伝えなきゃ気付いてもらえない。



伝えよう・・・凛に、好きだって。



俺は凛にこの気持ちを伝える覚悟を決める。



絶対に伝える、この気持ちを伝えて・・・振り向いてもらうんだ。
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