アイドル様は天然キラー

「ハァ・・・」



奈央樹くんが仕事で家を留守にしている時、大きなため息をついてしまう。



最近、奈央樹くんのアプローチが多い。



しかも、先日見てしまった熱愛報道・・・。



私自身、自分が奈央樹くんをどう思っているのかわからなくなってきてしまった。



リビングのソファーでスマホをいじりながら、悶々と考えてしまう。



そんな中、ネットニュースが流れていた。



それに目を通すと、オタク必見!推しについてのあれこれ!とだけ書かれていた。



気になってタップしてみると、推しなのかガチ恋なのかの見極め方、という記事のようだ。



推しとガチ恋の違い・・・か。



私はどうなんだろ?



そう考えた私は、推しとガチ恋の違いを調べ始める。



すると、推しか好きかを診断できるサイトに行きついた。



試しにやってみよう、そんな軽い気持ちで診断を受け始める。



とは言っても、当てはまるところにチェックを入れていくだけの簡単なものだ。



まずは推しの項目にチェックをつけていく。



項目は全部で9個、それぞれを読んでチェックを入れる。



ほとんどの問いにチェックがついた。



推しの項目がこんなに埋まるってことは、この気持ちは推してるからこその感情なんだ。



そんなことを考えながらガチ恋・・・もとい、好きの項目にチェックを付け始めた。



次々にチェックが入っていき、終わる頃には全部の項目にチェックがついてしまっていることに気が付いた。



診断ボタンを押すまでもなく、これはガチ恋の部類に入ると瞬時にわかってしまう。



「・・・私・・・奈央樹くんの事、恋愛的な意味で好きってこと・・・?」



それを自覚した途端、カァッと熱を帯びていく頬。



熱愛報道を見た時に思わず呟いてしまったのは、潜在的に奈央樹くんが好きだったから嫉妬したってこと!?



そう思えば思うほど恥ずかしくなっていく。



そんな中、ガチャっと音が聞こえてくる。



後ろを振り返ると、そこには奈央樹くんが扉を開けていた。



「ただいま──あれ?凛?どうしたの?」



「っ!?なっ・・・なんでもない!!大丈夫!!」



今さっき恋心を自覚したばかりの時に、当人に会ってしまいドキッとする。



わぁ〜・・・顔見れない!!



「ふぅん・・・リンゴみたいに真っ赤になって、こーんなに可愛い顔してるのに・・・?」



ソファーの後ろに立って、私の顎に手をそえて奈央樹くんの方に顔を向けられた。



いわゆる、顎クイというものだ。



「なっ・・・」



至近距離に奈央樹くんの顔があって、じわじわと熱を帯びていく頬。



しかも、サラッと可愛い顔とか言われちゃって意識をするなという方が難しい。



「ねぇ、凛。どうしてそんなに赤くなってるの?俺に教えて」



「・・・・・・奈央樹くんのせいだもん・・・」



奈央樹くんから視線を逸らしながらボソッと呟く。



その呟きが聞こえたのか、奈央樹くんは目を見開いて私を見た。



「え・・・?俺・・・?」



「なっ、なんでもない!!」



「あっ、待って」



奈央樹くんを振り切って部屋へと逃げようとした時、腕を掴まれて奈央樹くんの方に引き寄せられる。



そして、後ろから優しく抱きしめられてしまった。



「・・・凛のこと、充電させて」



「っ〜・・・!!」



肩にあごを乗せながら甘えるように言われてしまい拒否できない。



私はそのまま奈央樹くんの腕の中で悶えていた。
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