アイドル様は天然キラー
お風呂から上がり、髪の毛を乾かしてリビングへと戻る。
すると、NAKIがスマホから顔を上げて私の方を見た。
「凛、おかえり〜・・・」
NAKIは目を擦りながら眠そうに声をかけてくる。
待って、おねむなNAKI超可愛い・・・!!国宝級か!?
まぁ、時間も時間だし眠くもなるよね。
お風呂場でも少し考えたんだけど、NAKIの寝る所どうしよう・・・?
リビングのソファーで寝てもらうの却下だ。
どう考えてもあんな所で寝かせられない。
やっぱり兄さんの部屋で寝てもらうのが1番無難かな?
「NAKI。寝る場所なんですけど、兄の部屋が空いてるのでそこで寝てください」
「・・・1人じゃ眠れないからやだ。一緒の部屋がいい」
私の言葉に対して、近くに置いてあったクッションを抱きかかえながら拒否するNAKI。
ちょっと待って!?可愛すぎんか!?
「だ、だからといって私の部屋で寝るのはさすがにやばいので兄の部屋を使ってください!」
仮にもアイドルがただのオタクの部屋で2人で寝たとかシャレにならないだろう。
何かあったらどうするつもりなんだ。
私は推しに対してそんなことはしないけど、警戒はして欲しい。
「え〜・・・やだ、1人じゃ眠れない」
「ぐっ・・・!!そんなに可愛く言ってもダメです!NAKIは売れっ子アイドルなんですから、そこら辺の危機管理ちゃんとしてください!」
「・・・わかった・・・。その部屋どこ?」
「案内します。着いてきてください」
不服そうにしながらも何とか納得してくれたようで、クッションを手放しながら立ち上がった。
そんな彼を、兄さんの部屋へと案内する。
兄さんの部屋は2階にあり、廊下を出てすぐの階段を上った先にある。
NAKIがついてきているのを確認しながら階段をのぼり、兄さんの部屋の前に立った。
「ここが兄の部屋です。私の部屋はその隣なので、何かあれば呼んでください」
「ありがとう」
兄さんの部屋の中に入り、扉を閉めようとするNAKI。
だけど、あと少しで閉じるというところで、隙間から顔をのぞかせて私の方を見た。
「・・・凛はいつ寝るの?」
「えっ?・・・まぁ、そろそろ寝ようかとは思ってましたけど・・・」
「・・・そう、わかった」
そう言って、部屋の中へと入っていくNAKI。
それを見届けた後に私も隣の自分の部屋へ入り、ベッドへ横になった。