リストランテ
ローンはこのパスタを一口食べた瞬間に涙を流しはじめた。


『おい!どうした?涙がでるほどうまいか!?』


ローンは下を向いたまま無言で味見を続ける…。


『なんだよ!感想ぐらい言えよ!何も言わなきゃわかんねぇだろーが。』


ローンは下を向いたまますすれた声で話し出した。


『たいせいさん…うまいっすよ。こんなうまいパスタ俺食った時がねぇ…。』


『そうだろ!そうだろ!俺も今度の大会にはこいつでいこうかと思ってんだ!どうだ?ローン、いけると思わないか?今年こそ…。』

ローンは無言のまま厨房の鍋の煙を目で追っていた。

『たいせいさん…。少し聞いてもらえますか?』


ローンは泣いていた顔がうそのような柔らかな表情になって語り始めた。


『最初にいいますがこのパスタじゃ今年も勝てません』


いきなりのローンの一言にたいせいはむっとした。


『いきなりなんだよ!お前もうまいっていったじゃねーか!!』


『たいせいさん、最後まで聞いてください!これから話す事はとても重要な事なんです』


いつものローンの様子と違う事に気付いたたいせいは怒りを抑えて椅子に座った
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop