ロマンスに心酔

誕生日





───ふ、と意識が戻ってくる独特の感覚がする。

ゆっくりと目を開けると、いつものようにせんぱいの姿は隣にない。


「(相変わらず、早起きだなあ⋯⋯)」


ぐーっと伸びをして手探りでスマホを見つける。

時刻は10時24分。

休みの日はたっぷり寝るわたしと、いつでもショートスリーパーのせんぱい。

とっくの昔に起きたのだろう、隣には温もりすら残されていなかった。

まあ、いつものことだ。


広々としたベッドを占領し、毛布にくるまりながらごろごろと寝返りを打つ。

適当にスマホを眺めていると、ふいに寝室のドアが開いた。


「あ、起きてる。おはよ」


「おはよ、ございます」


いまから片付けるのだろう、乾いた洗濯物を抱えている。


「ごはん、いつものでいい?フレンチトーストとか食べる?」


「⋯⋯!食べてみたい⋯⋯!」


「ん、了解」


「それ、やっときます!」


「いいの?ありがと」


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