ロマンスに心酔
「だめじゃん。仕事?」
「や、仕事は、ぜんぜん⋯⋯」
「あ、ほんと、よかった。じゃあどしたの?」
「いや、ほんと、とくに理由はない、です」
「え、そんなわけない。昔から睡眠命の青葉が眠れないなんて相当じゃん。そんな嘘やごまかしがおれに通用すると思った?」
「う⋯⋯、いやでも、ほんと、大丈夫です」
「なんでそんな頑ななの」
「これ以上せんぱいの手を煩わせるわけには⋯⋯」
「あーあ、青葉が心配で午後の仕事手につかないなー」
「ええ⋯⋯っ」
昔と変わってない、やさしいせんぱいだ。
頑固な心がだんだん絆されていく感覚がする。
「強がりで隠してるんだったら教えて。
いつまでもそんなフラフラのままだと心配だし、青葉の力になりたい」
いつか、妹さんがいると言っていたのがよくわかる。
頼りたい、と、思ってしまった。