ロマンスに心酔
一瞬で食べ終わってしまった。本当に一瞬だった。
「うまかったな」
「ほんっとにおいしかったです、あと3つは食べれる」
「ふは。今度はもっといっぱいつくるわ」
「一緒につくりたい⋯⋯!です」
「ふ、いいよ、つくろ。楽しみ」
「わたしも!」
へへ、と笑い、ごちそうさまをする。
一緒に後片付けをしたあと、念願の誕生日デートに向けて身支度を始めた。
きょうは、ディナーの前にずっと行ってみたかったクリスマスマーケットに行く予定。
数日前、限定のかわいい雑貨がたくさん売っているという情報をSNSで見つけ、何の気なしにせんぱいに言うと、きょう連れてってくれることに。
とっても楽しみ!
ディナーの雰囲気に合うような大人っぽい服装に着替え、いつもより丁寧にメイクをする。
ヘアアレンジも、できるだけ大人っぽく。
「おー、なんかいつもより大人。かわいいじゃん」
「えへへ、ありがとう、ございます」
せんぱいは、よく褒めるひとだ。
かわいい、なんて数え切れないくらい言ってくれるけれど、未だにドギマギしてしまう。
「行こっか」
「はい」
コートを羽織り、せんぱいからもらったマフラーを巻くと「やっぱ似合うな」と言われ、また照れてしまった。