ロマンスに心酔



「ごちそうさまでした。とってもおいしかったです」


「うまかったな」


「たくさん、ありがとうございました」


「喜んでくれてよかった」


じっくりと食事を堪能したので、外はすっかり闇に染まっている。

高速エレベーターで1階に降り、建物を出ると、凍える寒さが全身を襲った。


「うう、さむい⋯⋯」


「やっぱ夜はすげー冷えるなー」


擦り寄るように手を繋ぐ。

ここからせんぱいのお家へは電車を乗り継ぐ必要があり、それがめんどくさくなったのだろう。

通りかかったタクシーをせんぱいが呼び止めてくれたので、乗り込んで帰路に着いた。


「ほい」


せんぱいが鍵を開けてくれる。


「お邪魔します」


「おかえり」


「ふふ、ただいまです。せんぱいもおかえりなさい」


「ただいま」


玄関でいつものやりとり。


「さみーな」


「さむいですねー」


「すぐ風呂入ろ」


そう言いながらせんぱいがお風呂のお湯を沸かしに洗面所に向かうので、着いていく。


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