ロマンスに心酔
「さな先入りなよ」
「⋯⋯」
「ん?どした?」
恥ずかしくて、少し躊躇した。
顔を見ることはできず、俯いてせんぱいの服をきゅっと掴む。
「⋯⋯いっしょ、に、はいり、たい、⋯⋯です」
「⋯⋯えっ、いいの?」
こくり、と頷く。
せんぱいが顔を覗き込んできたので思いっきり背けた。
「顔見せて」
「やだ!」
「さーな」
甘ったるい声。
抗えるはずもなく、とうとうせんぱいと目が合う。
「ふ。かわいい」
そのまま近づいてくる顔。
軽く、遊ぶようなキスを繰り返す。
そのままぎゅっと抱きしめられ、しばらくくっついていた。
広い浴室は、ふたりで入ってもスペースは充分。
後ろから抱きしめられるような形で湯船に浸かりながらおしゃべりをする。
「⋯⋯きょう、楽しかった?」
「すっごく!ずっと忘れない誕生日になりました」
「よかった。さなの喜んでる顔いっぱい見れて幸せ」
「わたしも、きょうずっと幸せでした。こわいくらい」