ロマンスに心酔
「なにそれ、めっちゃ危ないじゃん。ほんとに誰にも言ってないの?」
「だ⋯⋯って、確信があるわけじゃないし、直接なにかされたわけでもないし⋯⋯」
「でも青葉は眠れないくらい怖い思いして、結果貧血になったわけでしょ。じゅうぶん被害にあってるじゃん」
「っ、で、でも、誰かに言ったところで⋯⋯」
「おれんち来なよ」
⋯⋯へ?
世界一まぬけな顔をした自信がある。
「ふ、何その顔」
「⋯⋯え、っ、いや、いやいや、え、?」
「だから、おれんち。青葉のことだから、実家は頼りたくないんでしょ。最寄り駅どこ?」
「う⋯⋯っ、え、えっ、と、〇〇です⋯⋯」
「あ、隣じゃん。よかった、近い。応急処置ってかんじだけど、とりあえず今日はおれんちでゆっくり寝て」
「え、いや、そんな⋯⋯え?」
「もし着替えとか取りに行くなら着いてくから、勝手に帰んなよ」
「えっ、いやいやいや、そんな、申し訳ないし、帰りますよ」
「だめだって。おれが心配なの。大丈夫、部屋はいっぱいあるし、とって食ったりしないから」
「えええ⋯⋯」
いや、そんな心配は端からしてませんが⋯⋯
「じゃ、とにかくそういうことで。身体、どう?」
「え、あ、だ、だいぶ、よくなりました⋯⋯」
「よかった。よし、あとちょっと休んで、昼飯一緒に食お」
ゆっくり起き上がりなよ、と、やさしく声がかかる。
⋯⋯とんでもないことになってしまった。