ロマンスに心酔
「よく知ってましたね?わたしがアンノンすきなこと」
「うん、サークルでよく話してたから。最近テレビでも見るようになって、思い出した」
Bluetoothを繋げさせてもらい、さっそくアンノンを流す。
「いまもライブとか行ってんの?」
「そうですね、当たれば行きます。でも、どんどん当たりづらくなってて⋯⋯」
「たしかに。いま人気すごいもんなー」
「今度一応ライブあるんですけど、厳しい戦いになりそうです」
「当たるように願っとくわ」
「お願いします!」
会社から車で帰宅するなんて初めてで、すごく新鮮だ。
「家寄る?」
「あー、いや、大丈夫、です」
「⋯⋯怖い?」
「⋯⋯っ、は、い」
「了解。なら、イオン寄るか」
「えっ、いいんですか⋯⋯?」
「もちろん」
「ありがとう、ございます」
イオンで着替えや基礎化粧品など、泊まるための最低限を揃えると、いよいよせんぱいの家へ向かった。