ロマンスに心酔
せんぱいがお風呂から上がってきたので、つくってくれたナポリタンを一緒に食べる。
お風呂上がりでノーセットの、少し濡れた髪がセクシーだ。
寝巻きであろうTシャツにスウェットというダル着ですら着こなしてしまう。
せんぱいのこんなオフの姿を無料《タダ》で見られるなんて⋯⋯!
心の中で悶えながら、いただきますをする。
「ごはん、ありがとうございます」
「ぜんぜん。口に合えばいーけど」
「⋯⋯ん!めちゃくちゃおいしいです!」
「よかった」
「ほんとにおいしい⋯⋯」
かっこよくてやさしくて、仕事も料理もできるなんて。
完璧じゃないか。
顔のすべての筋肉が緩んでいる気がする。
そんなわたしを見て、せんぱいはうれしそうに笑っていた。
「料理はよくするんですか?」
「うん。会食がないときは」
「へぇぇ!お忙しいのに、すごい⋯⋯」
「青葉も毎日つくってるでしょ?」
「まあ、簡単なものばかりですが⋯⋯」
「おれもおんなじもんだよ。パスタ茹でてソースかけて終わり」
そういえば、せんぱいは大学生のときもひとり暮らしをしていた。
手際の良さが料理歴の長さを物語っている。