ロマンスに心酔



せんぱいがお風呂から上がってきたので、つくってくれたナポリタンを一緒に食べる。


お風呂上がりでノーセットの、少し濡れた髪がセクシーだ。

寝巻きであろうTシャツにスウェットというダル着ですら着こなしてしまう。

せんぱいのこんなオフの姿を無料《タダ》で見られるなんて⋯⋯!

心の中で悶えながら、いただきますをする。


「ごはん、ありがとうございます」


「ぜんぜん。口に合えばいーけど」


「⋯⋯ん!めちゃくちゃおいしいです!」


「よかった」


「ほんとにおいしい⋯⋯」


かっこよくてやさしくて、仕事も料理もできるなんて。

完璧じゃないか。


顔のすべての筋肉が緩んでいる気がする。

そんなわたしを見て、せんぱいはうれしそうに笑っていた。


「料理はよくするんですか?」


「うん。会食がないときは」


「へぇぇ!お忙しいのに、すごい⋯⋯」


「青葉も毎日つくってるでしょ?」


「まあ、簡単なものばかりですが⋯⋯」


「おれもおんなじもんだよ。パスタ茹でてソースかけて終わり」


そういえば、せんぱいは大学生のときもひとり暮らしをしていた。

手際の良さが料理歴の長さを物語っている。

< 20 / 80 >

この作品をシェア

pagetop