ロマンスに心酔



鍵穴に目立った傷はなかった。

玄関、リビング、洗面所、そして寝室。きのうの朝出たときと変わったところはなさそうだ。

スマホを取り出し、せんぱいに連絡する。


“お部屋、大丈夫そうです!本当にありがとうございました。気をつけて帰ってください︎︎︎︎︎☺︎”

───“よかった。下も怪しい人影とかなかったから、きょうは大丈夫だと思う。ゆっくり休んでな”

“はい!せんぱいこそです!おやすみなさい”

───“おやすみ”


お気に入りのソファに座り、ふぅと息を吐いた。

家の中がやけに静かな気がして、思わずテレビをつける。

毎週やってるバラエティをしばらくぼーっと観てから、ごはんをつくろうとようやく重い腰を上げた。

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