ロマンスに心酔



ストーカーであることを確信してしまったことで恐怖が倍増し、いつもより早足でアパートを目指す。

この1週間で家はもちろんバレているだろうから、変にコンビニとかに寄り道するよりも、いつものように真っ直ぐ帰ったほうが安全なはずだ。


そうして、やっとの思いでアパートのオートロックを解除し、ふっと一安心した。


ストーカーだと認識した途端、途方もない恐怖が襲いかかるものだから、人間ってある意味単純だ。


階段で4階まで上がり、自分の部屋に入ってやっと、解放された。


「(こわかった〜⋯⋯)」


しかし、今のところ直接的な被害はないとはいえ、住んでいる場所は確実にバレているので、いつ接触してくるかわからない。

念願のひとり暮らし、仕事のストレスを和らげるために工夫したお気に入りのお部屋。

ふわふわのソファに座り、ふわふわのくまのぬいぐるみを抱きしめながら、これからどうしようかと途方に暮れた。

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