ロマンスに心酔
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「おまたせしました⋯⋯!」
「おつかれ」
きょうはわたしの方が遅くなってしまった。
並んでエントランスを出る。
「本当にありがとうございました、電車通勤までしていただいて⋯⋯」
「ああ、意外に楽しかったよ。満員電車ってやっぱきついんだなーって体感できたし」
「あの、欲しいものとかないですか?よければ、何かお礼させてください!」
「え、いいよそんなん」
「だめです、わたしの気が済まないです」
「ふ、頑固だな」
「だって、本当に助かったんです!」
安心して家に帰れるというだけでどれほど心にゆとりが出るだろう。
本当に、命の恩人だ。
どうせこの縁はそう長くは続かないし、何か少しでもお返しをしたい。