ロマンスに心酔
「それ、お礼になります⋯⋯?」
「なるなる、めっちゃなる」
「そ、そうですか⋯⋯」
「じゃ、今週の華金は一緒に楽しむ、てことで、いいっすか」
「ぜひ、お願いします、楽しみです!」
「おれも。仕事頑張れるわ」
だからそれ、わたしのセリフでは⋯⋯?
こんなわたしでも、せんぱいの頑張る理由になれるなんて。
電車に乗ると、せんぱいは必ず人混みから守ってくれる。
一緒に乗るのももう終わりかあ、と思うと途端にさびしく感じる己の現金さに苦笑する。
「とりあえず今週は電車通勤で様子見るわ」
「わかりました、ありがとうございます」
今週いっぱい。
金曜日に飲みに行ったら、いよいよ、この縁は終わりを迎えるだろう。
「(アンノン、当てたいなあ⋯⋯)」
心の奥底では、この縁が続くことを祈っている。